24日、さいたま市の保育園のプールで4歳の園児が溺れて死亡した事故で、当時、プールでは、3歳から5歳までの年齢の異なる園児が一緒に遊んでいたことがわかりました。
専門家は、子どもは年齢が1歳でも違えば体格差が大きくなり、監視の目が届きにくくなると指摘していて、警察は、当時の対応に問題がなかったか調べています。
24日午後3時半すぎ、さいたま市緑区の認可保育所「めだか保育園」のプールで、近くに住む赤沼美空ちゃん(4)が、うつぶせの状態で浮かんでいるのが見つかり、25日朝早く、死亡しました。
警察と市は、美空ちゃんが溺れたと見て、25日、保育園の関係者を立ち会わせて現場で当時の状況を調べました。保育園によりますと、事故が起きた当時、プールでは、3歳と4歳、そして5歳の年齢の異なる園児合わせて19人が遊んでいたことがわかりました。午前中は、年齢別にプールの時間を設定していましたが、午後は、再びプール遊びを希望した異なる年齢の園児を一緒に遊ばせていたということです。
当時、プールでは、保育士2人が監視にあたっていましたが、子どもの事故に詳しい専門家は、幼い子どもの場合、年齢が1歳でも違えば体格差が大きくなり、監視の目が届きにくくなると指摘しています。警察は、プールの防犯カメラの映像を分析するなどして、当時の対応に問題がなかったか調べています。
保育園長「申し訳ない」
プールで遊んでいた4歳の女の子の園児が死亡したことについて、「めだか保育園」の黛秋代園長(67)は「監視の目を離さない、水面から目を離さないことを徹底していたのですが、穴があったということで申し訳ないと思っています」と謝罪しました。
保育園によりますと、24日はプール遊びの最終日で、昼寝を終えておやつを食べ終わった園児に10分程度、プールで遊んでもらっていたということです。
保育園では25日午後7時から保護者会を開き、事故の詳しいいきさつや再発防止策について説明することにしています。
近所の住民「いたたまれない」
保育園の近所に住む30代の女性は「4歳になると話も上手になり、いろいろと1人でできるようになるかわいい時期なので、保護者のかたもまさか子どもが溺れるとは思っていなかったと思います。最近は保育士が足りないという話も聞くので、両方の気持ちを考えるといたたまれないです」と話していました。
保育施設500か所に事故防止徹底を通知
この事故を受けて、さいたま市は、市内にあるおよそ500か所の保育施設などに対し、プール活動を含め、保育時間中の管理態勢を整え、事故防止を徹底するよう通知しました。
識者「事故のリスクが高い」
保育士の経験をもとに保育現場の救命処置や事故を防ぐための講演活動を行っている専門家、遠藤登さんは、幼い子どもは年齢が1歳でも違えば体格差が大きくなるとしたうえで、「3歳から5歳までの19人が一緒に遊ぶ中で保育士が2人という態勢は事故のリスクが高いと思う。異なる年齢の子どもたちをプールに入れるのであれば4、5人の保育士が必要だ」と指摘しています。
そのうえでプールでの事故を防ぐためには「プールで遊んでいる最中も一人一人の園児の名前を呼ぶなどして所在を確認することや、滑ったり転んだりしても水から顔が出るような年齢にあった水深にすることが大切だ」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170825/k10011111841000.html