旧統一教会の信者の2世から「教義に基づいて養子縁組をされ、悩んでいる」という相談が支援活動を行っている弁護士に複数寄せられていることがわかりました。
専門家は教団が行った養子縁組に法的な問題がある疑いもあるとして、行政が調査を進めるべきだと指摘しています。
旧統一教会をめぐっては、元信者やその家族から高額の献金や、望まない信仰の強制などの被害を訴える声が上がっています。
これを受けて、国会では被害者救済に向けて悪質な献金を規制する新たな法案などについて議論が進められているほか、政府は宗教法人法に基づく「質問権」を行使することを決めました。
こうした中、旧統一教会の信者の2世から支援活動を行っている弁護士に「教義に基づいて信者の家庭どうしで養子縁組をされ、悩んでいる」という相談が複数寄せられ、弁護士が調査を始めたということです。
「教義のために利用された」養子に出された元信者の訴え
旧統一教会の信者の家庭間で養子として引き取られた元信者の20代の女性、「ようじよ」さん(仮名)がNHKの取材に応じました。
合同結婚式で結ばれた両親のもと「ようじよ」さんは、4人きょうだいの2人目として生まれましたが、生後まもなく別の信者家庭に養子に出されました。
そのことを4歳のときに知ったという「ようじよ」さんは、いきさつについて養母などから聞いたことがあるといい「なぜか私だけ本当の家族から離れて養子に出されました。育ての親に子どもができなかったので、養子がほしいと相談したときに生みの親がたまたま私を妊娠していて『じゃあこの子を』という流れだったと聞きました」と話しました。
そのうえで「教義のために利用されたというか私はいったい誰なんだろう。何のために生きているのかと考えてしまう」と述べ、自分の存在に苦悩した末に、3年前に命を絶とうとしたことを明かしました。
「ようじよ」さんは「養子縁組の制度そのものは子どものできないご夫婦もいるのですばらしい制度だと思う。ただ宗教の教義のために子どもの1人の命をやり取りするのであれば、間違っていると思う。別の人生があったという思いがあります」と話していました。
「妹2人が別の信者の家庭の養子に出された」2世の元信者の告白
「小川さゆり」の名前で被害を訴えている2世の元信者の女性は、妹2人が別の信者の家庭に養子に出されたことをNHKの取材に初めて明かしました。
小川さんは6人きょうだいのうち3番目の長女ですが、妹2人は生後まもなく別の信者の家庭に養子に出され、4人きょうだいとして育ったといいます。
妹が養子に出された経緯については、「産む前に養子に出すことは決まっていて、母が妊娠した時点で教会の上の立場の人から『子どもに恵まれない信者の家庭があるから、子どもをあげられませんか』と相談があったと聞きました」と証言しました。
小川さんによりますと、出産する前から受け入れ先の養母が一緒に生活し、準備をしていたということです。一方、養子として別の家庭に引き取られた妹とは数年前に会ったことがあり、そのときは温かい家庭で育っていると感じたといいます。
教団のスピーチ大会で準優勝するなど、かつて信仰に熱心だった小川さんは養子縁組そのものは必要な制度だとしたうえで、「統一教会の思想では信者の人生の目的に『三大祝福』があり、その中の2番目が『子女繁殖』なので、神様の思想を成し遂げなきゃいけないのに(子どものいない信者は)自分たちがその責任を果たせないことにすごく悩んでいます。養子に出た先で幸せに暮らしている人はいると思いますが、教義を守ったうえで子どもの幸せがあるという形に感じられます」と話していました。
2に続く
NHKニュース
2022年11月15日 21時05分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221115/k10013892041000.html
専門家は教団が行った養子縁組に法的な問題がある疑いもあるとして、行政が調査を進めるべきだと指摘しています。
旧統一教会をめぐっては、元信者やその家族から高額の献金や、望まない信仰の強制などの被害を訴える声が上がっています。
これを受けて、国会では被害者救済に向けて悪質な献金を規制する新たな法案などについて議論が進められているほか、政府は宗教法人法に基づく「質問権」を行使することを決めました。
こうした中、旧統一教会の信者の2世から支援活動を行っている弁護士に「教義に基づいて信者の家庭どうしで養子縁組をされ、悩んでいる」という相談が複数寄せられ、弁護士が調査を始めたということです。
「教義のために利用された」養子に出された元信者の訴え
旧統一教会の信者の家庭間で養子として引き取られた元信者の20代の女性、「ようじよ」さん(仮名)がNHKの取材に応じました。
合同結婚式で結ばれた両親のもと「ようじよ」さんは、4人きょうだいの2人目として生まれましたが、生後まもなく別の信者家庭に養子に出されました。
そのことを4歳のときに知ったという「ようじよ」さんは、いきさつについて養母などから聞いたことがあるといい「なぜか私だけ本当の家族から離れて養子に出されました。育ての親に子どもができなかったので、養子がほしいと相談したときに生みの親がたまたま私を妊娠していて『じゃあこの子を』という流れだったと聞きました」と話しました。
そのうえで「教義のために利用されたというか私はいったい誰なんだろう。何のために生きているのかと考えてしまう」と述べ、自分の存在に苦悩した末に、3年前に命を絶とうとしたことを明かしました。
「ようじよ」さんは「養子縁組の制度そのものは子どものできないご夫婦もいるのですばらしい制度だと思う。ただ宗教の教義のために子どもの1人の命をやり取りするのであれば、間違っていると思う。別の人生があったという思いがあります」と話していました。
「妹2人が別の信者の家庭の養子に出された」2世の元信者の告白
「小川さゆり」の名前で被害を訴えている2世の元信者の女性は、妹2人が別の信者の家庭に養子に出されたことをNHKの取材に初めて明かしました。
小川さんは6人きょうだいのうち3番目の長女ですが、妹2人は生後まもなく別の信者の家庭に養子に出され、4人きょうだいとして育ったといいます。
妹が養子に出された経緯については、「産む前に養子に出すことは決まっていて、母が妊娠した時点で教会の上の立場の人から『子どもに恵まれない信者の家庭があるから、子どもをあげられませんか』と相談があったと聞きました」と証言しました。
小川さんによりますと、出産する前から受け入れ先の養母が一緒に生活し、準備をしていたということです。一方、養子として別の家庭に引き取られた妹とは数年前に会ったことがあり、そのときは温かい家庭で育っていると感じたといいます。
教団のスピーチ大会で準優勝するなど、かつて信仰に熱心だった小川さんは養子縁組そのものは必要な制度だとしたうえで、「統一教会の思想では信者の人生の目的に『三大祝福』があり、その中の2番目が『子女繁殖』なので、神様の思想を成し遂げなきゃいけないのに(子どものいない信者は)自分たちがその責任を果たせないことにすごく悩んでいます。養子に出た先で幸せに暮らしている人はいると思いますが、教義を守ったうえで子どもの幸せがあるという形に感じられます」と話していました。
2に続く
NHKニュース
2022年11月15日 21時05分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221115/k10013892041000.html