ビジネススクールで“副業”を続け報酬を得ていた疑いや、朝日新聞政治部の女性記者との不倫疑惑で経済安全保障法案の事務方の責任者を更迭された、藤井敏彦・経済安保法制準備室室長。藤井氏が公用のタクシーチケットを私的に使用していた疑いがあることが「週刊文春」の取材でわかった。
私用で使用したタクシー代をチケットで支払う
藤井氏は1月29日の土曜日、ビジネススクール・不識塾で講師の仕事をした後に朝日新聞の記者との週末デートを楽しんだ。
そして週明け1月31日月曜日の17時40分過ぎ、職場を出た公用車が向かった先は、港区芝公園にある高級タワーマンション。藤井氏は大通り沿いで車を降りると、辺りを窺うようにして、マンションへと姿を消した。よほど親しい間柄なのか。食事時に訪れたにも関わらず、藤井氏の手には手土産などは何もない。
「ここは朝日新聞の女性記者の家ではなく、別の女性が住むマンションなのです」(経産省関係者)
そして4時間余り経った22時15分、マンションから出てきた藤井氏は通りでタクシーを拾うと、自宅より2キロほど手前のコンビニの前でタクシーを停車。そして、なんとタクシー代をチケットで支払ったのだった。
過去にチケットの私的な使用で、戒告処分が出たことも
役所の公用車は、20時以降は使えない。そのため、専属の公用車が付く幹部はそれ以降、公用がある場合に限り、タクシーチケットが貰える。飲み会などには使えないが、「公用の勉強会がある」と言えば秘書がすぐに用意してくれる仕組みだ。
内閣官房会計課によると、「罰則はないが、タクシーチケットの私的利用は、使用基準違反になる」という。2007年には厚労省職員が、チケットの私的な使用で戒告処分を受けている。
チケットのことを尋ねられると「会食」と言い張った藤井氏
2月5日、藤井氏を直撃した。
――芝公園のマンションに行かれていますが、どなたとお会いになられたんでしょうか?
「まぁ友人ですね、別に何も」
――友人で間違いないですか?
「はい」
――その後にタクシーチケットを使ったのは私的利用にあたるのでは?
「いや、会食。まぁ会食ですから」
――家でですか?
「はい」
当初は「友人」と言っていたものの、チケットのことを尋ねられると「会食」と言い張った藤井氏。その後も何度かやり取りを続けたが、あくまでタワーマンションで会食をしたという姿勢は変えなかった。
ビジネススクールの生徒を部屋に招き入れていた
2月7日、「週刊文春」が経済安保室に質問状を送ったところ、翌8日、「処分に繋がる可能性のある行為が判明したため」(経済安保室)、藤井氏は室長を更迭され、経産省に出向する辞令が発表された。
だが藤井氏の疑惑はこれだけではなかった。“闇営業”していたビジネススクールの生徒である日立の女性部長をNSS(国家安全保障局)の部屋に招き入れていたのだ。日立は、経済安保リスクに備えた新部署を新設することを公表している。
国の安全保障にかかわり機密保持が求められる地位にありながら、藤井氏に噴出するさまざまな疑惑。藤井氏が責任者として取りまとめた経済安保法案の作成過程に問題はなかったのか。経済安保法案は今国会で審議されるだけに、すみやかな調査が求められることになりそうだ。
このほか、藤井氏が“闇営業”を続けていた理由、朝日記者以外の親しかった複数の女性、“別宅”として都内に借りていたマンション、藤井氏が職場に何度も招き入れていた女性、藤井氏の「あだ名」、日立の回答など、詳しくは2月16日(水)12時から配信の「週刊文春 電子版」および2月17日(木)発売の「週刊文春」で報じている。
文春オンライン
https://bunshun.jp/articles/-/52117