岸田政権にとって2議席死守が至上命令だった参院2補選。山口で勝利を決めたものの、静岡では予想外の敗北を喫した。1週間後に投開票を控えた衆院選の「前哨戦」として臨んだだけに、与党側は危機感を募らせ、野党側は攻勢の足がかりにする構えだ。
岸田首相が2度応援入りも「逆風」拭えず
選挙戦で岸田文雄首相が2度にわたって応援に入った静岡選挙区。自民党の遠藤利明選挙対策委員長は24日夜、敗北を受けて記者団に「あと一歩及ばずという状態になった」と述べた。
参院静岡、山口の両補選で争われたのは、もともと自民党が持っていた議席だ。山口選挙区は自民党の分厚い地盤があり、確実に1議席は得られると踏んでいた。また、6月の静岡県知事選に自民党の前参院議員が立候補したことに伴う静岡選挙区でも当初、「勝って当然」との楽観論があった。
静岡では、衆院8小選挙区のうち自民党や自民系の前職が七つを占める。さらに、野党側は共闘体制を構築できず、10月初旬の自民党の調査では公認候補が、立憲民主党や国民民主党が推す山崎真之輔氏を大きく引き離していた。そうした状況もあって岸田首相は告示日の7日にさっそく応援に入り、「選挙の顔」として「100代目の内閣総理大臣」などと自らのアピールも忘れなかった。
甘い見通しは、すぐに崩れ去る。
自民党県連は、街頭などの雰囲気から「逆風」を感じていた。県連幹部の一人は、安倍、菅政権でのコロナ対応に触れ、「両政権の不手際も影響がある。緊急事態宣言などでストレスや不満を抱えていない人はいない」と指摘していた。
実際、選挙戦中盤には報道各社…
朝日新聞
2021/10/24 21:25
https://www.asahi.com/sp/articles/ASPBS6HCXPBSUTFK001.html