全国の自治体や職場に国から供給されるはずのワクチン が滞っています。職場接種を申請した企業が国に問い合わせると「精査中」。自治体では集団接種の予約中止で、数千万円の損害を見積もるケースも。
1日、東京都庁で始まった職場接種。まずは都営地下鉄の駅員などから始め、一日に最大1000人を目指しています。
「早い時期に受けられるのは、職域のこの都庁の接種だったので、それで受けました」(接種した地下鉄の職員)
職場接種なら早く打てる。そう考えていた人たちが今、戸惑っています。静岡県富士宮市。中小企業12社が集まり、従業員とその家族、1100人の職場接種を今月から始める予定でした。
ところが・・・
「ご希望の週の接種開始は困難となっております」
先月16日、国に職場接種を申請したところ、ワクチンが間に合わないと連絡が入ったのです。接種会場には食堂を使う予定でリハーサルも済んでいました。1日、国に改めて問い合わせてみると・・・
「情報がなくてどうしたらいいかと思いまして・・・」(職場接種を担当 渡辺浩総務部長)
「絶対に無理であろうと言い切らなかったが、『いま精査中ですので、もうしばらくお待ちください』というニュアンス。(ワクチン供給は)かなり厳しいかなという感じ」(職場接種を担当 渡辺浩総務部長)
このままでは職場接種自体ができなくなる可能性もあるといいます。
「我々は中小企業なので、会社の中に産業医がいない。医師の確保が非常に問題になる」(職場接種を担当 渡辺浩総務部長)
打ち手は地元の医師らに依頼して確保していました。ただ、ワクチンの日程が決まらないことには再び確保できる確証はありません。
「本当に困惑しているというのが一番。とにかく情報がほしい」(職場接種を担当 渡辺浩総務部長)
ワクチン供給の遅れに怒りをあらわにする人もいます。
「(ワクチンの)供給が今、厳しい状況となっております。国にはすごく憤りを感じている」(三重・四日市市 森智広市長)
三重県四日市市、来月までにおよそ5万5000人分のワクチン接種を計画していましたが、国からの供給がその半分にも満たないことが判明。急きょ高齢者への集団接種の予約受付を中止しました。岐阜県の各務原市の市長が私たちの取材に応じました。
「苦渋の決断ではありますけれども、集団接種会場は一時休止にさせていただく」(各務原市 浅野健司市長)
もともと2か所だった集団接種の会場。政府が高齢者への接種を7月末までに終えるよう目標を掲げたことで先月、8か所に増やしました。ところがその矢先、国から供給されるワクチンが大幅に減ったのです。せっかく整備した8つの会場は来月から使用中止に。会場スタッフの派遣や設営のキャンセルで、数千万円の費用がかかる可能性もあるといいます。
「(会場内の)交通整理、人の流れの整理を委託していたので、物品等で数百万円、派遣会社のキャンセルで約4000万円程度という金額が試算されている。ワクチン接種はスピードを争う競技ではない。(国には)地域の実情をもうちょっと把握していただけるといいのではないか」(各務原市 浅野健司市長)
ワクチンの供給不足が全国に広がる中、1日、大阪府の吉村知事からはこんな提案も。
「緊急事態宣言が出されていたようなエリアにまずはできるだけワクチンを供給して出火しないようにする。消火器のホースは限られているのであれば、出火元に向けていくことが重要なのではないか」(大阪府 吉村洋文知事)
希望する人はいつワクチンを打てるのか。多くの人にとって見通せない状況となっています。(01日23:16)
TBS NEWS
7/2(金) 0:52
https://news.yahoo.co.jp/articles/8a9e96fcd2531d4afa666e02138270d4e89f5748