日本政府が東京電力福島第一原発の処理水を海洋放出する方針を決めたことをめぐり、韓国の大学生34人が20日、ソウルの日本大使館前で頭を丸刈りにする抗議パフォーマンスを演じた。大使館は抗議活動の活発化を憂慮。在外公館の安寧を維持することを定めたウィーン条約に違反するとして、韓国政府に対応を求めている。
抗議パフォーマンスをしたのは、北朝鮮に友好的な進歩(革新)系団体「韓国大学生進歩連合(大進連)」のメンバーら。新型コロナウイルスの防疫措置として、大使館周辺では法律に基づく行政命令で10人以上の集会が禁止されているが、学生らは大使館前に座り込み、「日本政府が韓国国民の生活を踏みにじろうとしている」などと抗議を続ける。20日も警察が警告するなか、「放流をやめろ」などと叫び、4人ずつ順番に頭を丸刈りにしていった。
一方、韓国の鄭義溶(チョンウィヨン)外相は20日の国会質疑で「太平洋沿岸国を対象に我々の立場を共有するための外交努力を強化する」と強調。国連などで海洋放出への憂慮を訴え、国際原子力機関(IAEA)の検証過程には「韓国の専門家や研究機関の参加を求めていく」との方針を示した。前日の国会質疑では「IAEAの基準に合う手順に(日本政府が)従うなら、あえて反対しない」と答弁していた。(ソウル=鈴木拓也)
朝日新聞
2021年4月20日 17時36分
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