https://www.zakzak.co.jp/soc/news/210206/for2102060001-n1.html
英国は1日、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟を正式申請した。
国際関係の一般論であるが、貿易と安全保障は、密接につながっている。経済的結びつきが強ければ、軍事的結びつきも強くなるし、その反対もまたしかりだ。対立し、いつ戦争になるかわからない相手とは誰も貿易しない。ひとたび戦争になれば、相手国への投資がムダになるばかりか、貿易のために相手国に駐在している自国民が拘束されたり、果ては殺害されたりといった被害に遭う危険も高まるからだ。
このように単純に考えても、貿易は、戦争が起こる可能性がきわめて低い国、すなわち安全保障条約が結ばれており、軍事的結びつきが強い国と行うことが前提となる。
その典型例は、欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)だ。NATOは、米国、カナダの北米と欧州諸国の間で結ばれている軍事同盟だが、欧州のNATO加盟国はEU加盟国とかなり重複している。
こうした関係から見れば、英国のEU離脱は解せないが、政治の混乱で不可思議な決定はよくある話でもある。
ただし、英国としても、EUから離脱した以上、別の貿易圏を目指すのは自然だ。そこで、目をつけたのがTPPというわけだ。
TPPはトランプ前政権で米国が離脱した後、日本主導で行われているが、TPPにとっても英国の参加は渡りに船だ。
(略)