菅義偉首相は10日、韓国の朴智元(パクチウォン)国家情報院長と首相官邸で会談した。日韓外交筋によると朴氏は首相に対し、1998年に当時の小渕恵三首相と金大中(キムデジュン)大統領が署名した「日韓共同宣言」に続く新たな宣言を日韓両首脳が発表することを提案した。ただし日本政府関係者は「宣言によって日韓間の懸案が解決されるという保証はなく、現実的ではない」との見方を示しており、実現するかは流動的だ。
日韓共同宣言は植民地支配に対する日本の謝罪を明記するとともに、2002年のサッカー・ワールドカップの日韓共催に向けた両国民の協力にも言及した。朴氏は新たな宣言が21年に開催予定の東京オリンピック・パラリンピックの成功にも寄与するとの考えを示した模様だ。
会談で首相は、元徴用工問題で厳しい状況にある日韓関係を健全な関係に戻すきっかけを韓国側が作るよう改めて求めた。朴氏は会談後、「文在寅(ムンジェイン)大統領の韓日関係正常化に対する意思を首相に伝えた」と記者団に表明。元徴用工問題については「両国のトップが解決しなければいけないという必要性を感じている。継続して対話したらいい結果になる」と述べ、対話継続の必要性を強調した。【川口峻】
毎日新聞
2020年11月10日 19時20分
https://mainichi.jp/articles/20201110/k00/00m/010/210000c