政府は26日召集予定の次期臨時国会に、検察官の定年延長を盛り込んだ検察庁法改正案を提出することを見送る方針を固めた。先の通常国会で問題視された、内閣の裁量で特定の検察幹部の定年を最大3年間延ばせる「特例規定」の修正案が固まっていないため。野党が日本学術会議の会員任命問題への追及を強める中、対立法案を先送りする思惑もあるとみられる。
自民党幹部が明らかにした。与党との調整を経た上で2021年1月召集の通常国会に、国家公務員法改正案などと共に再提出する。
検察庁法改正案は、検事総長を除く検察官の定年を現行の63歳から65歳へと段階的に引き上げるもので、安倍政権だった今年の通常国会に提出された。63歳で幹部から退く役職定年も設けられたが、内閣が認めれば幹部にとどまることができる特例規定が問題視された。1月末に政権に近いとされる黒川弘務・東京高検検事長(当時)の定年延長が閣議決定されており、これを「後付け」で正当化するものだと野党が批判した。黒川氏はその後発覚した賭けマージャン問題で5月に辞職。同法案は「束ね法案」である国家公務員法改正案などと共にいったん廃案となった。
政府は特例規定の撤回を含む条文修正を経て速やかに再提案する意向だったが、菅内閣への移行に伴う党役員の交代などで与党との調整が遅れていた。
政府・与党は21年度当初予算案編成を優先させるため、臨時国会を12月上旬までに終えたい構えで、日本学術会議問題を巡り野党が追及を強める中、人事介入のイメージがつきまとう検察庁法改正案の再提出は得策でないと判断した模様だ。【東久保逸夫】
毎日新聞
2020年10月7日 21時28分
https://mainichi.jp/articles/20201007/k00/00m/010/276000c