国の持続化給付金事業を担う一般社団法人サービスデザイン推進協議会について、法人の定款をインターネット上で調べると、ファイルの作成者名が経済産業省内部になっていることが分かった。経産省が法人の設立に関与したとみて野党は同省を追及している。 (森本智之)
定款の作成者名には「情報システム厚生課」と記されていた。経産省内のシステム運用などを担当する部署だ。
経産省は作成者名について、省内の部局と認めた上で「企業から定款の作成方法の問い合わせを受け過去に作成したデータを提供することはある。それを基に作成された可能性は否定できない」と説明。ただ「法人にも確認したが経緯は分からない」とする。
ファイルのタイトルが「補助金執行一般社団法人(仮称)定款(案)」となっていることも経産省関与の疑いを強める。行革で人員削減が進み、事業を外部委託するケースが多い。持続化給付金事業で、中小企業庁の担当者自身も「役人だけでは到底できない」と外部委託の利点を認める。
野党は「経産省が、補助金事業を執行させるために付き合いのあった企業を通じて法人を設立し、定款の作成にも関わった」と指摘。これにも、経産省は「(なぜタイトルがそうなっているか)われわれとしては分からない」と具体的な反論はできていない。
持続化給付金事業では委託費の97%が再委託先の電通に流れ、他の企業に外注されている。法人の実体は乏しく、事業の実際の担い手は委託先の企業などになっている。法人は設立から四年で、給付金を含め十四件総額千五百七十六億円の事業を受託するなど経産省とは密接な関係。給付金以外でも、再委託や外注を繰り返してきた。偶然なのか、最初に受託した事業の公募開始日が、法人の設立日だった。経産省の担当者は、同省が法人の設立に関与しているという指摘について「全く違う」と否定。その上で「設立は、産業界の皆さんがこれから、この政策が盛り上がると空気を読んだのではないか」と話した。
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東京新聞
2020年6月3日 07時14分
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