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2020/04/17(金) 09:39:06.84ID:MXMvqTl19こうした声が、憤りや不安を表現するものとして、日々発せられている。また同時に、このフレーズが文字通りの疑問として口にされることも少なくない。政府がいったい何をしているのか理解ができず、そのことに対する不満や困惑が広がっているのである。(上智大学教授=中野晃一)
▽だらだら感
7都府県を対象に緊急事態宣言が4月7日に発令されて1週間余りがたとうとしているが、こうした疑問と不安が払拭されていないどころか深まっている。「緊急事態」と言いながら、政府の対応があまりにスピード感を欠いていることから、肝心の緊急性がまったく感じられない。危機感を募らせた自治体が独自に宣言を発令する動きも相次ぎ、政府が対象地域を全国に拡大する方針を決めたのは16日になってからだった。
そもそも第1段階となった7日の緊急事態宣言では、発令に先だって臆測や前触れがだらだらと1週間以上も続いた。さらに発令後も、医療崩壊が目前に迫る東京都での具体的な休業要請の対象が発表されるまで3日間、安倍政権と小池百合子都知事との間で、居酒屋や理髪店など諸外国の事例で見てもおよそ「不要不急の外出」と見なされることがない業種をどうするかの駆け引きが行われたのだ。
その間、新型コロナウイルス対策を担う西村康稔経済再生担当相は、まずは外出自粛要請の効果を見るために休業要請を2週間程度先送りしてはどうかと対象7都府県の知事に打診したとさえ報じられた。
不可解なのは、西村氏の打診のタイミングだ。安倍晋三首相は、緊急事態宣言発令に際して行った記者会見で「2週間後に感染者の増加をピークアウトさせる」と述べた。西村氏の発言はその翌日に出た。緊急事態と言いながら2週間まずは様子を見て、しかし2週間後のピークアウトを目指しているというのは何事なのか。
実はこうしたエピソードが、安倍政権の新型コロナウイルス対策の根本的な問題を表しており、政府はいったい何をしているのか、と多くの人が感じる理由でもある。それは、政府の決める対策の根拠とその決定過程の双方がともに透明性を欠いていて、その結果、政府の打ち出した対策の合理性や効果を含めた方向性が見えてこないのである。つまり何を根拠に何をどうすればどうなると誰がどこで決めているのかが分からないのだ。
しかも安倍首相は、記者会見の質疑応答で、「例えば最悪の事態になった場合、私が責任を取ればいいというわけではありません」と述べている。
ここに来て、野党がかねてから主張していた国民への10万円一律給付だ。首相は4月16日、公明党に押し切られる形で、審議入り目前の補正予算案を組み替えて対応する方針へと転換した。こうした混乱ぶりを見せられては、リーダーシップどころか、為政者としての当事者意識すら欠如しているのではないかと疑ってしまう。
▽危機でも平時と変わらぬ業界団体への配慮
安倍首相以下、政府が市民の安全を守る責任主体としての当事者性と説得力を示せずにいる一方で、首相や政府与党関係者、そしてマスコミが盛んに喧伝するのは、日本の特措法が定める緊急事態では政府が外出や営業を禁止する強制力を持たないので、欧米など諸外国で行われているような「ロックダウンはできない」という言説である。
ことさらにこの点を言い立てて、だから緊急事態条項を憲法に盛り込む改正が必要だという、それこそ何の緊急性も必要性もない教条主義的な主張も散見される。
しかし、いわゆるロックダウンのような徹底的な休業・外出禁止措置に積極的な姿勢を見せた小池都知事とのさやあての中で明らかになったのは、安倍政権は「ロックダウンしたくない」という事実であった。そしてそれは、これまで再三、立憲主義や法の支配の原則をないがしろにしてきた政権が、ここにきて急に一般市民の私権の制限に慎重になったからではない。
2に続く
47NEWS
2020/4/17 07:00 (JST)
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