自民党の河井案里参院議員(46)=広島選挙区=の陣営による公選法違反(買収)事件で案里氏が初当選した昨年夏の参院選前の昨年四月ごろ、夫の克行前法相(57)=自民、衆院広島3区=が広島県議二人側にそれぞれ現金三十万円を渡していたことが分かった。二人が取材に証言した。同時期、別の県議のスタッフに数十万円を渡していたことが既に判明している。
二人とも克行氏と深い付き合いはなかったといい、克行氏が手広く現金を配っていた疑いが出てきた。案里氏は昨年三月、広島選挙区で二議席独占を狙う自民党の二人目の候補として公認されていた。
一方、広島県大竹市の入山欣郎市長は三十一日、広島地検の任意聴取を受け、手帳や携帯電話を提出したと明らかにした。陣営から現金を受け取ったかどうか確認されたとみられる。県内市長への聴取が判明したのは三原市の天満祥典市長に続き二人目。両市長は現金受領は否定している。
三十一日の取材に証言した県議は自身が出馬した広島県議選(昨年三月二十九日告示、四月七日投開票)で当選後、事務所に来た克行氏から直接三十万円が入った封筒を渡された。名目は「当選祝い」との認識だったという。
もう一人の県議は、県議選中に克行氏が事務所を訪ねてきたと説明。自身は不在でスタッフを通じ「会いたい」と依頼された。応じなかったが、克行氏は自宅にまで来て親族に三十万円が入った封筒を渡した。
県議二人は「克行氏とはほとんど話したことがない」としている。いずれも昨年五月ごろ、克行氏の地元事務所を訪れ、現金を返却したという。
また広島県福山市の枝広直幹市長は三十一日夜、地検の聴取、金の授受を明確に否定した。同日昼の取材では明言を避けていた。
東京新聞
2020年4月1日 朝刊
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202004/CK2020040102000126.html