中国の新型肺炎について新聞各紙のコラムの切り口はさまざま。
産経新聞の名物コラム「産経抄」は中国政府の情報隠蔽についてツッコんでいた(1月27日)。“中国の情報公開”というお題にしぼって記事を追うのは確かにおススメしたい。中国の姿がリアルにわかる。
結びはこれ。
《この緊急事態に、国会ではサクラがどうした、こうしたとのんびりした議論ばかり。議員の諸君、ボーっと生きてんじゃねーよ!》
相変わらず感情が激しくて読むのが楽しい産経抄師匠。
しかし桜を見る会について「のんびりした議論」と書いているが、「ちゃんと説明されない」という意味においては中国も日本も深刻な事態になっていることに気づいておられないのだろうか。
本性は些細な振る舞いにこそ
たとえば同じ日の日経新聞は世論調査の結果を大きく載せていた。
■「桜を見る会 不信根強く」
政府のこれまでの説明に「納得できない」の回答が78%だった。内閣支持層でも「納得できない」は63%にのぼった。
ここで思い出したいのは「神は細部に宿る」という言葉だ。
もし「小さなこと」の桜すら説明しないなら、今回の中国と同じような「大きなこと」が今後起きたときも「ちゃんと説明されないのでは?」と不安に感じてしまう。また、その可能性を警戒するのがマスコミの役割だ。国会のサクラは決して「のんびりした議論」ではないのである。
1月30日の毎日新聞の社説は《政府はそうした不安にも応える対応と丁寧な情報発信をしてほしい。》と書いた。これは新型肺炎の対応について書いた社説である。求められることはやはり桜と同じなのである。
本性は些細な振る舞いにこそ色濃く出る。
なら「内閣支持層」こそ、桜の危うさに早めに気づき「とっとと説明せよ、面倒なことになるぞ」と叱るべきだった。それが本当の政権擁護の態度であったはず。
「ちゃんと説明されない」件で、まず思い出す3人
「ちゃんと説明されない」件では例の3人も興味深い。河井案里、河井克行、菅原一秀である。最近やっと人前に姿を現したが、何も説明していないとブーイングが飛んでいる。
しかし、あの3人が表舞台に出てこなかったのは「説明を避けた」のではなく「口を封じられていた」可能性も考えたほうがよい。出てくるな、しゃべるな、と言われていた可能性を。
腐っても選挙で当選した政治家である。地元にはいち早く釈明し、おわび行脚をしたかったはずだ。それすらせずに雲隠れというのは政治家の本能としてあり得ない。
■安倍首相が忘れない「恨み」
そもそもなんで岸田派の牙城である広島に同じ自民党からわざわざ「新人」(河井案里)がおくりこまれたのか?
こちらの記事を読めばわかる。
「安倍は広島の仇敵を許さない 岸田が悩む“仁義なき戦い”」(「週刊文春」2019年6月27日号)
首相はかつて、広島が地盤の溝手顕正氏(岸田派)に痛烈に批判されたことがあった。
《安倍氏は、そうした恨みを片時も忘れない。》
こんなにわかりやすい理由だった。敵は野党ではなく自民党内にいたのだ。
当時の新聞にも書いてある。
《河井氏は首相や菅氏に近い河井克行・党総裁外交特別補佐の妻で、菅氏が出馬を後押しした。》(日本経済新聞2019年7月23日)
そして先週あらためて出たのが、河井夫妻の政党支部に「参院選前のわずか3カ月間で計1億5000万円が振り込まれている」という報道だ(「週刊文春」1月30日号)。官邸の力の入れ具合が「金額」で証明された。
この事実には自民党内からも反応が出ていて面白い。朝日新聞の記事(1月25日)から抜粋する。
・竹下派の参院中堅は「刃向かう者は全力でつぶすという首相の残酷さがあらわになった選挙だった」
・別の若手議員は「僕らは立法事務費も政党交付金も党に召し上げられている。我々のカネでよく分からない人に肩入れした党本部、官邸にみんな憤っている」
・同じ参院選で当選した麻生派の中堅も「官邸に近い関係にあれば優遇されるのか」と語る
さすがに選挙のおカネだけに敏感な反応がずらり。こんな一文も。
以下ソース先で
https://bunshun.jp/articles/-/29871