https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200129-00000617-san-pol
野党は29日の参院予算委員会に、立憲民主党の蓮舫副代表や国民民主党の森裕子参院議員ら5人の女性議員を投入した。立民は安倍晋三首相主催の「桜を見る会」などスキャンダルを中心に問いただしたが、国民は中国発の新型肺炎対策や外交・安全保障などを追及し、合流構想が破綻した両党の立ち位置の違いが浮き彫りとなった。(千田恒弥)
蓮舫氏「結果として功労、功績がない方を国家行事で慰労してしまったという認識はあるか」
首相「一般論として申し上げれば、桜を見る会が企業や個人の違法不当な活動に利用されることは決して容認できない」
トップバッターとして質問に立った蓮舫氏は、桜を見る会に預託商法などが問題視された「ジャパンライフ」元会長が招待されたことや公文書管理について首相を激しく追及した。
しかし、決定的な答弁は引き出せず、「いとも簡単に廃棄、疑惑に蓋、揚げ句に(桜を見る会を)中止。私は非常に恥ずかしい」と質疑を締めくくった。
主要野党の国対委員長は29日、新型肺炎に関する野党合同の対策本部を立ち上げることを決定。立民の安住淳国対委員長は「政府の対応が非常に遅れている」と記者団に語り、政府を批判した。だが、蓮舫氏は質疑直前、中国・武漢市を含む湖北省に在留する邦人がチャーター機で帰国していたにもかかわらず、持ち時間のほぼ全てを疑惑の追及に費やした。
こうした立民幹部の姿勢に、自民党の世耕弘成参院幹事長はツイッターで「野党の質問が始まって40分経過したが、(略)責任者が列席しているシチュエーションで感染症について質問をしない感覚に驚いています」と皮肉った。
昨年夏の参院選で初当選し、初めて予算委の質問に臨んだ立民の石垣のり子氏も「桜」関連に特化。「本来であれば新型肺炎、自衛隊の中東派遣などを質疑したいところだが、わが国の安全の最大の障壁となっている公文書管理や公金管理のずさんさをたださなくてはならない」と訴えた。
対照的に、国民の徳永エリ氏は冒頭から新型肺炎について詳細な説明を求め、首相や加藤勝信厚生労働相から丁寧な答弁を引き出していた。同党の森氏もこの日はスキャンダルとは一線を画し、新型肺炎、北朝鮮の拉致問題、日銀による金融緩和政策などを取り上げた。
国民の玉木雄一郎代表は29日の記者会見で、新型肺炎に関し、感染の恐れのある外国人の入国拒否などを盛り込んだ提言をまとめ、近く政府に申し入れる考えを示した。統一会派を組む立民とは異なる「提案型」政党を打ち出し、存在感を高める狙いがある。
与党議員は国民の姿勢を高く評価した上で野党第一党である立民女性議員の質問の在り方をこう嘆いた。
「新型肺炎について聞かなければ政権担当能力を示すことはできない。『桜』ばかり質問してくれるので与党としては楽だが、本当にこれでいいのかね」