年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の昨年10〜12月期の運用損は四半期ベースで過去最大となったが、積立金は年金給付のための財源の1割程度で、すぐに影響は出ない。ただ、株式比率の高い今の運用方法は損益の幅が大きく、原則5年に1度となる2020年度の運用見直しでは議論となりそうだ。
GPIFはもともと、比較的リスクが低いとされる国内債券を中心に運用してきたが、高い運用利回りの確保を目指す安倍政権の意向を背景に、14年10月に国内外の株式比率を倍増させた。このため、市場が好調なら高収益になるが、今回のように損失が大きくなることもある。
今回の損失の多くは時価評価で、損失が確定したわけではない。西村康稔官房副長官は1日の記者会見で「短期的な運用結果が年金財政上の問題に直結したり、年金給付に影響を与えたりすることはない」と強調した。GPIFは、短期的に損失が出ても長期的には安定した利益が確保できるとしている。
だが、年金制度に詳しい日本総研の西沢和彦主席研究員は「長期で株価が上がるかは不確実だ。巨額の損失は年金受給者や加入者の心理にマイナスの影響を与え、年金制度への信頼が揺らぐ」と警鐘を鳴らす。
立憲民主党の逢坂誠二政調会長も1日、国会内で記者団に「株式比率の高さは見直しの大きな考慮の要素の一つになる」と指摘した。
ただ、巨額資金を運用するGPIFが株式比率を下げるために株を売却すれば、市場に与える影響は極めて大きい。それだけに、政府は大きく変更しない意向だ。【横田愛、小田中大】
毎日新聞
2019年2月1日 19時35分
https://mainichi.jp/articles/20190201/k00/00m/040/244000c
GPIFはもともと、比較的リスクが低いとされる国内債券を中心に運用してきたが、高い運用利回りの確保を目指す安倍政権の意向を背景に、14年10月に国内外の株式比率を倍増させた。このため、市場が好調なら高収益になるが、今回のように損失が大きくなることもある。
今回の損失の多くは時価評価で、損失が確定したわけではない。西村康稔官房副長官は1日の記者会見で「短期的な運用結果が年金財政上の問題に直結したり、年金給付に影響を与えたりすることはない」と強調した。GPIFは、短期的に損失が出ても長期的には安定した利益が確保できるとしている。
だが、年金制度に詳しい日本総研の西沢和彦主席研究員は「長期で株価が上がるかは不確実だ。巨額の損失は年金受給者や加入者の心理にマイナスの影響を与え、年金制度への信頼が揺らぐ」と警鐘を鳴らす。
立憲民主党の逢坂誠二政調会長も1日、国会内で記者団に「株式比率の高さは見直しの大きな考慮の要素の一つになる」と指摘した。
ただ、巨額資金を運用するGPIFが株式比率を下げるために株を売却すれば、市場に与える影響は極めて大きい。それだけに、政府は大きく変更しない意向だ。【横田愛、小田中大】
毎日新聞
2019年2月1日 19時35分
https://mainichi.jp/articles/20190201/k00/00m/040/244000c