米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設に伴う名護市辺野古(へのこ)での新基地建設を巡り、新基地が完成した場合に米軍が設定する「高さ制限」を超える建造物が周辺に三百五十八件あることが分かった。撤去や移設が必要になる場合もあり、費用は日本側が負担する。昨年末時点で、国から県や地元に建造物の数や内訳について説明はなく、地元住民からは国の姿勢を問題視する声が出ている。 (村上一樹、写真も)
高さ制限は、離着陸する航空機の安全のために空港周辺で定める。米軍の基準では、滑走路から二千二百八十六メートルの範囲内に高さ四五・七二メートル超の建物があってはならない。辺野古の場合、新基地の標高約九メートルを足した約五十五メートルとなる。
防衛省は昨年十二月、超党派国会議員でつくる「沖縄等米軍基地問題議員懇談会」で、対象の建造物について公表した。三百五十八件の内訳は、沖縄電力や携帯電話会社などの鉄塔十三件、建物百十二件、電柱や標識など二百三十三件。最も高い鉄塔は、制限を約四十八メートル上回っていた。
沖縄工業高等専門学校の校舎なども制限を超えているが、日米間の調整で対象外とした。鉄塔は沖縄電力など計四社と同省が移設の協議に入っている。撤去・移設の場合は今後、国の新基地建設予算から費用を支出する予定だが、金額は「必要なとき、必要な予算を計上する」(同省)として明らかになっていない。
高さ制限を巡っては、同省が二〇一一〜一二年に調査し、その時点で対象件数も把握していた。だが制限を超える建造物があること自体を県に伝えないまま、一三年には辺野古沖の埋め立て承認を県に申請。同年末に当時の仲井真弘多(なかいまひろかず)知事から承認を受けた。
昨年四月に地元紙が制限に抵触する建造物の存在を報道。その後も同省は対象件数を県に伝えなかった。県は国の「不作為」に反発し、昨年八月の埋め立て承認撤回の際、この問題を理由の一つにしている。
辺野古に立ち並ぶ送電線の鉄塔近くで金物店を営む西川征夫(いくお)さん(74)は「いまだに説明が一切ない。撤去や移転でどういう影響が地域にあるかも分からず、心配だ」と話す。
東京新聞
2019年1月7日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201901/CK2019010702000124.html
高さ制限は、離着陸する航空機の安全のために空港周辺で定める。米軍の基準では、滑走路から二千二百八十六メートルの範囲内に高さ四五・七二メートル超の建物があってはならない。辺野古の場合、新基地の標高約九メートルを足した約五十五メートルとなる。
防衛省は昨年十二月、超党派国会議員でつくる「沖縄等米軍基地問題議員懇談会」で、対象の建造物について公表した。三百五十八件の内訳は、沖縄電力や携帯電話会社などの鉄塔十三件、建物百十二件、電柱や標識など二百三十三件。最も高い鉄塔は、制限を約四十八メートル上回っていた。
沖縄工業高等専門学校の校舎なども制限を超えているが、日米間の調整で対象外とした。鉄塔は沖縄電力など計四社と同省が移設の協議に入っている。撤去・移設の場合は今後、国の新基地建設予算から費用を支出する予定だが、金額は「必要なとき、必要な予算を計上する」(同省)として明らかになっていない。
高さ制限を巡っては、同省が二〇一一〜一二年に調査し、その時点で対象件数も把握していた。だが制限を超える建造物があること自体を県に伝えないまま、一三年には辺野古沖の埋め立て承認を県に申請。同年末に当時の仲井真弘多(なかいまひろかず)知事から承認を受けた。
昨年四月に地元紙が制限に抵触する建造物の存在を報道。その後も同省は対象件数を県に伝えなかった。県は国の「不作為」に反発し、昨年八月の埋め立て承認撤回の際、この問題を理由の一つにしている。
辺野古に立ち並ぶ送電線の鉄塔近くで金物店を営む西川征夫(いくお)さん(74)は「いまだに説明が一切ない。撤去や移転でどういう影響が地域にあるかも分からず、心配だ」と話す。
東京新聞
2019年1月7日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201901/CK2019010702000124.html