【ソウル=桜井紀雄】韓国最高裁は29日午前10時から、戦時中に徴用工として労働を強制されたと主張する韓国人と遺族が三菱重工業に損害賠償を求めた訴訟の再上告審の判決を言い渡す。当時、朝鮮女子挺身(ていしん)隊員として労働を強いられたとする女性らが同社を相手取った賠償訴訟の判決も下される。
日本政府は1965年の日韓請求権協定で個人請求権問題が解決済みとの立場だが、最高裁は10月30日に徴用に絡む別の訴訟で「強制動員被害者の請求権は協定の対象に含まれない」として新日鉄住金に賠償を命じる確定判決を出しており、今回2件の判決も原告勝訴となる公算が大きい。
日本政府は10月の判決を日韓関係の「法的基盤を根本から覆すもの」(河野太郎外相)と批判しており、同様の判決となれば、日韓関係へのさらなる悪影響は避けられない。戦時労働に絡む訴訟は他にも12件あり、下級審で審理を再開する動きがみられ、今後も同様の判決が続く可能性が高い。
元徴用工の原告5人(いずれも故人)は、44年から広島の三菱重工の工場などで労働を強いられて被爆したとし、2000年に提訴した。1、2審は敗訴したが、最高裁が12年に個人請求権は協定で消滅していないと2審判決を破棄。13年の差し戻し審で釜山高裁は三菱重工に計4億ウォン(約4千万円)の支払いを命じ、同社は上告した。
挺身隊訴訟の原告5人は1944年、名古屋の軍需工場などに動員され、無賃金で重労働を強いられたとして2012年に提訴。1、2審とも三菱重工に賠償を命じ、同社が上告していた。
産経新聞
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