「(同性愛カップルは)子供をつくらない、つまり『生産性』がない」――との主張が批判を浴びている杉田水脈衆院議員(51)。自民党から指導を受けたことを明かし、「真摯に受け止め、今後研鑽につとめて参りたいと存じます」とのコメントを発表したが、いまだに「謝罪」していない。「釈明会見」を開く予定はないのか。事務所に問い合わせると政策秘書がこう答えてくれた。
「ゲイを名乗る人から『おまえを殺してやる』というメールがきたので、会見を開くと危険が増すと思われます。そうした懸念があるので、私たちも(杉田に)注意を払ってくださいと言っている状況です」
「いまどこにいるのか」「反省していないのか」などを聞いたが、「コメントを差し控えさせていただきたい」の一点張り。
要するに、自民党の指導は真摯に受け止めるが謝るつもりは一切ない、ということらしい。
杉田議員は「保守」を自認しているようだが、同性愛者を差別する考え方は日本の伝統ではない。
「江戸時代は男色の風習があり、お稚児さんと呼ばれる人もいました。それが同性愛者差別に切り替わったのは明治になってからです」と言うのは明大講師の関修氏(心理学)だ。
「1つは富国強兵をスローガンに国家改造を進める上で兵隊を増やさなければならなかったこと。だから子供ができない人は国家にとってマイナスと見なされました。もう1つ、同性愛の男性が軍隊にいると規律が乱れ、戦争遂行能力が低下。これでは戦争に勝てないと国の指導者が考えたのです。こうした理由で同性愛者を排除する論理が確立していった。知的障害者が不妊手術を強制されたのも同じ。どちらも国家のお荷物になるという理由でした」(関修氏)
富国強兵の国家主義が少数派を排除する右翼思想と結び付き、いまだに杉田議員のような考え方が政界にはびこっているわけだ。元衆院議員で政治学者の横山北斗氏が言う。
「彼女は右翼陣営のアイドルなのです。自分を称賛し守ってくれる人が周囲にたくさんいるとの気持ちが強い。そのため謝罪の必要はないと考えているのでしょう。もし謝罪したら、自分の存在意義がなくなってしまいますからね」
次の選挙も絡んでいるという。
「杉田さんは比例区で当選した人。いずれ選挙区に回りたいと考えているはずです。そのためには多少の批判を浴びようが名前を売っておきたい。今回の騒動は自分を有利にしてくれると計算しているでしょう。『悪名は無名に勝る』というわけです」(横山北斗氏)
政治家の席に居座らせてはならない。
日刊ゲンダイ
2018年8月5日
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