2018年1月5日 朝刊 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201801/CK2018010502000137.html
経済産業省所管の国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」の助成金を巡る不正受給事件で、別の事業でも助成金を不正受給した疑いがあるとして、東京地検特捜部は四日、詐欺容疑でスーパーコンピューター開発のベンチャー企業「ペジーコンピューティング」(東京)社長の斉藤元章容疑者(49)=詐欺罪で起訴=と元事業開発部長の鈴木大介容疑者(47)=同=を再逮捕した。
逮捕容疑では、NEDOが募集した二〇一二〜一三年度の研究開発費補助金「戦略的省エネルギー技術革新プログラム実用化開発」の事業で、一四年四月、経費を約三億円水増しした虚偽の実績報告書を提出。過大に受け取った助成金約一億九千百万円を返還せず、だまし取ったとされる。特捜部は認否を明らかにしていない。
NEDOは、対象となった助成金の上限を「三億円程度」と定めており、同社は二年間で計六億三千三百万円の助成金を受けていた。斉藤容疑者らは昨年十二月、NEDOの別の事業で助成金約四億三千百万円をだまし取ったとして起訴されているが、ともに経費を水増しすることで、上限ぎりぎりまで助成金を得ようとしたとみられる。
民間調査会社によると、斉藤容疑者はペジー社のほか、電子部品開発会社「ウルトラメモリ」(同)や、スパコン開発会社「エクサスケーラー」(同)など、四つの関連会社の運営に携わっている。
ペジー社によると、斉藤容疑者は社長の辞任届を出しており、関連会社の役員も辞任する意向を示しているという。
◆助成や融資 国から100億円
国はペジー社と関連会社に総額約百億円の助成金や融資金名目の公的資金を支払ったり、交付を決定したりしており、特捜部は不正受給の実態解明を進めている。NEDOは同社と関連会社に対し、二〇一〇〜一七年度にかけて五事業で計三十五億円以上の助成金交付を決定。うち、十二億三千四百万円が支払い済み。このほか、文部科学省所管の「科学技術振興機構」(JST)も昨年一月、関係会社に六十億円の無利子融資を決め、既に五十二億円を支払った。