毎日新聞:2017年7月23日 21時21分
http://mainichi.jp/articles/20170724/k00/00m/030/030000c
![【国際】脱炭素社会の環境政策に尽力 フランス政府「2040年めどに、ガソリン車の販売禁止」 [07/23]©2ch.net ->画像>2枚](http://cdn.mainichi.jp/vol1/2017/07/24/20170724k0000m030047000p/6.jpg)
フランスで建設が進む太陽光パネルが埋設された太陽光発電道路=パリ近郊のブローニュビヤンクール市で、賀有勇撮影
【パリ賀有勇】米国のトランプ大統領が地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」からの離脱を表明する中、
フランス政府は2040年までにガソリンとディーゼルを燃料とする自動車の販売を禁止するなどの環境政策を打ち出した。
マクロン仏大統領は地球温暖化対策に関する首脳会議の年内開催も視野に入れており、米国抜きでの脱炭素社会の実現に向けたけん引役を担いたいとの思惑があるとみられる。
15年12月の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で議長国としてパリ協定を採択に導いたフランスでは、
太陽光パネルを埋設した太陽光発電道路の建設が始まるなど、温室効果ガスの削減に向けた取り組みが進んでいる。
マクロン氏は経済相時代には原子力発電やディーゼル車の販売に「寛容」な姿勢をみせたが、大統領就任後は、テレビの人気キャスターだった著名な環境活動家のニコラ・ユロ氏を環境相に登用。
環境問題に対する意識の高まりが見てとれるようになった。
また、再三の説得にもかかわらず、トランプ氏がパリ協定からの離脱を表明したことも、マクロン政権の環境問題への取り組みを後押しする形となった。
ユロ環境相は7月6日、40年までに仏国内でガソリン車とディーゼル車の販売をやめるなどの環境政策の数値目標を発表。
トランプ氏も出席した主要20カ国・地域(G20)首脳会議がドイツで開幕する直前のタイミングだった。
仏政府は今後、排ガスの規制強化や補助金などで、自動車市場の大半を占めるディーゼル車とガソリン車から、電気自動車(EV)や燃料電池車への乗り換えを促す。
また、22年までに発電量の5%程度を占める石炭発電を廃止して温室効果ガスの排出を抑制するとともに、全58基の原子炉のうち17基程度を閉鎖する方針も示された。
発電量に占める原子力発電の割合を、現在の75%から25年までに50%以下に減らし、原子力発電への依存率を低減させる。
仏政府は、環境政策を「真の大変革」(ユロ環境相)と自賛したものの、オランド前政権が掲げた原発削減の目標と同じであることから、「野心に欠ける」(仏紙ルモンド)と指摘された。
また、原発を削減するなかでEVの需要電力をどのように賄うかなど、具体的な試算は示されず、「具体性に欠ける」と批判する環境保護団体もある。
マクロン氏は、パリ協定の採択から2年となる今年12月12日にパリで地球温暖化対策に関する首脳会議を開く考えを示している。
今後、米国抜きでの脱炭素社会の実現に向けて主導的な役割を果たせるかどうか、フランスの「本気度」が問われることになりそうだ。