【朝日新聞】 無償化の原点に戻れ
教育の機会を公平に保障するという制度の理念に立ち返って判断すべきなのに、あまりに粗雑な論理で導いた判決だ。
(中略)
判決が焦点をあてたのは、学校と朝鮮総連との関係だ。
国は、過去の新聞記事や公安調査庁の報告書をもとに、「朝鮮総連の『不当な支配』を受け、無償化のための支援金が
授業料に使われない懸念がある」と主張。判決はこれを認めた。
この先も資金流用がありうると、どんな証拠に基づいて判断できたのか。地裁が取りあげたのは、約10年前の別の民事訴訟の判決だ。
「総連の指導で学園の名義や資産を流用した過去がある」と指摘し、「そのような事態は今後も起こりえると考えられた」と結論づけた。
総連の支配の継続については「変更や見直しを示す報道が見当たらなかった」ことを理由にした。
朝鮮学校が総連と関係があるとしても「不当な支配」とまでいえるのか。地裁が実態の把握に力を尽くしたとは言い難い。
原告側は生徒や教員の証人尋問や学校での現場検証を求めた。だが、地裁は採用せず、代わりに授業内容などのビデオ映像が法廷で上映された。
少なくとも朝鮮学校や総連の関係者を証人として法廷に呼び、財務資料を提出させるなどし、国の主張が正当かを具体的に確認すべきではなかったか。
高校無償化は10年に民主党政権で導入されたが、朝鮮学校は、北朝鮮の韓国・大延坪島(テヨンピョンド)砲撃を理由に適用が見送られた。
12年の第2次安倍内閣の発足後、下村博文・文科相が拉致問題などで「国民の理解が得られない」とし、対象から外した。
政治・外交問題に直接関係のない朝鮮学校の生徒に、まるで「制裁」を科すような施策には、国連の人種差別撤廃委員会も懸念を示している。
中華学校やブラジル人学校など40余りの外国人学校が無償化の対象になっている。申請を国が認めなかったのは朝鮮学校だけ。
制度の本来の目的に立ち返り、国は適用を検討すべきだ。
多くの大学・短大が朝鮮高級学校生の受験資格を認めているのも、日本の高校に準じた教育水準とみなしているからだ。
問われているのは、子どもの学ぶ権利に関わる教育行政の公平性である。原告側は控訴する方針という。高裁は丁寧な審理を尽くしてほしい。
全文:http://www.asahi.com/articles/DA3S13047050.html
【産経新聞】 独裁者崇拝に公金出せぬ
国が朝鮮学校を高校授業料無償化の適用対象外としたのは合憲、適法だとする初の判断を、広島地裁が示した。
北朝鮮や朝鮮総連の影響下にある学校運営の実態を踏まえ、公金支出を認めない国の主張を支持した当然の判決だ。
(中略)
高校無償化の支給要件は「適正な学校運営」と定められている。国の税金を使う以上、当たり前のことである。
判決では、この要件は合理的で差別には当たらず、合憲だと明確な判断を示した。原告側は民族教育を受ける権利を
侵害するなどと訴えたが、「支給要件に該当しないためで、民族を理由としたものではない」と退けた。
判決のいう通り、無償化から除かれたのは、不透明な学校運営の実態や教育内容の問題があるからだ。
これを是正しないまま、差別というのは問題のすり替えにほかならない。
広島地裁は、無償化の資金が授業料に充てられず、流用される懸念についても認めた。別の民事訴訟判決を挙げ
「朝鮮総連の指導によって学園の名義や資産を流用した過去がある」と指摘した。流用を気に掛けずに税金を使う方がどうかしている。
高校無償化制度は民主党政権時の平成22年に導入された。朝鮮学校への適用については、北朝鮮が核実験を行う中、判断が棚上げされ
自公政権時の24年末に国が適用除外の方針を決めた。
朝鮮学校の教科書は北朝鮮本国の検閲の下、朝鮮総連傘下の教科書編纂(へんさん)委員会が編集してきた。
歴史教科書などには、金日成、金正日親子をたたえる記述が頻繁にでてくる。
学校施設の一部を朝鮮総連が無償で使うなどの事例もある。東京都はこうした実態調査の結果に基づき補助金を打ち切った。
補助金を見直す自治体は増えているが、しっかり調査しないまま支出を継続する自治体もある。
拉致被害者を解放しない北朝鮮の独裁体制を支える教育内容などを不問にして、公金を使うことが妥当なのか。
今回の判決を厳しく受け止めてもらいたい。
全文:http://www.sankei.com/column/news/170721/clm1707210002-n1.html
教育の機会を公平に保障するという制度の理念に立ち返って判断すべきなのに、あまりに粗雑な論理で導いた判決だ。
(中略)
判決が焦点をあてたのは、学校と朝鮮総連との関係だ。
国は、過去の新聞記事や公安調査庁の報告書をもとに、「朝鮮総連の『不当な支配』を受け、無償化のための支援金が
授業料に使われない懸念がある」と主張。判決はこれを認めた。
この先も資金流用がありうると、どんな証拠に基づいて判断できたのか。地裁が取りあげたのは、約10年前の別の民事訴訟の判決だ。
「総連の指導で学園の名義や資産を流用した過去がある」と指摘し、「そのような事態は今後も起こりえると考えられた」と結論づけた。
総連の支配の継続については「変更や見直しを示す報道が見当たらなかった」ことを理由にした。
朝鮮学校が総連と関係があるとしても「不当な支配」とまでいえるのか。地裁が実態の把握に力を尽くしたとは言い難い。
原告側は生徒や教員の証人尋問や学校での現場検証を求めた。だが、地裁は採用せず、代わりに授業内容などのビデオ映像が法廷で上映された。
少なくとも朝鮮学校や総連の関係者を証人として法廷に呼び、財務資料を提出させるなどし、国の主張が正当かを具体的に確認すべきではなかったか。
高校無償化は10年に民主党政権で導入されたが、朝鮮学校は、北朝鮮の韓国・大延坪島(テヨンピョンド)砲撃を理由に適用が見送られた。
12年の第2次安倍内閣の発足後、下村博文・文科相が拉致問題などで「国民の理解が得られない」とし、対象から外した。
政治・外交問題に直接関係のない朝鮮学校の生徒に、まるで「制裁」を科すような施策には、国連の人種差別撤廃委員会も懸念を示している。
中華学校やブラジル人学校など40余りの外国人学校が無償化の対象になっている。申請を国が認めなかったのは朝鮮学校だけ。
制度の本来の目的に立ち返り、国は適用を検討すべきだ。
多くの大学・短大が朝鮮高級学校生の受験資格を認めているのも、日本の高校に準じた教育水準とみなしているからだ。
問われているのは、子どもの学ぶ権利に関わる教育行政の公平性である。原告側は控訴する方針という。高裁は丁寧な審理を尽くしてほしい。
全文:http://www.asahi.com/articles/DA3S13047050.html
【産経新聞】 独裁者崇拝に公金出せぬ
国が朝鮮学校を高校授業料無償化の適用対象外としたのは合憲、適法だとする初の判断を、広島地裁が示した。
北朝鮮や朝鮮総連の影響下にある学校運営の実態を踏まえ、公金支出を認めない国の主張を支持した当然の判決だ。
(中略)
高校無償化の支給要件は「適正な学校運営」と定められている。国の税金を使う以上、当たり前のことである。
判決では、この要件は合理的で差別には当たらず、合憲だと明確な判断を示した。原告側は民族教育を受ける権利を
侵害するなどと訴えたが、「支給要件に該当しないためで、民族を理由としたものではない」と退けた。
判決のいう通り、無償化から除かれたのは、不透明な学校運営の実態や教育内容の問題があるからだ。
これを是正しないまま、差別というのは問題のすり替えにほかならない。
広島地裁は、無償化の資金が授業料に充てられず、流用される懸念についても認めた。別の民事訴訟判決を挙げ
「朝鮮総連の指導によって学園の名義や資産を流用した過去がある」と指摘した。流用を気に掛けずに税金を使う方がどうかしている。
高校無償化制度は民主党政権時の平成22年に導入された。朝鮮学校への適用については、北朝鮮が核実験を行う中、判断が棚上げされ
自公政権時の24年末に国が適用除外の方針を決めた。
朝鮮学校の教科書は北朝鮮本国の検閲の下、朝鮮総連傘下の教科書編纂(へんさん)委員会が編集してきた。
歴史教科書などには、金日成、金正日親子をたたえる記述が頻繁にでてくる。
学校施設の一部を朝鮮総連が無償で使うなどの事例もある。東京都はこうした実態調査の結果に基づき補助金を打ち切った。
補助金を見直す自治体は増えているが、しっかり調査しないまま支出を継続する自治体もある。
拉致被害者を解放しない北朝鮮の独裁体制を支える教育内容などを不問にして、公金を使うことが妥当なのか。
今回の判決を厳しく受け止めてもらいたい。
全文:http://www.sankei.com/column/news/170721/clm1707210002-n1.html