http://www.sankei.com/politics/news/170531/plt1705310047-n1.html
2017.5.31 21:36
土地や建物の適正価格を判定するなど不動産取引を円滑にする役割を担う国家資格「不動産鑑定士」の受験者の減少に歯止めがかからない。平成28年の受験者数は10年前に比べて約3分の1まで落ち込み、合格者の高齢化も進展。優秀な人材不足が再生可能エネルギーや農業、観光といった成長分野の不動産投資の足かせになる懸念が浮上しており、国土交通省は法律で定める鑑定士業務の範囲拡大や受験しやすい環境の整備などに乗り出す。
国交省は31日、今後の鑑定評価制度の方向性を議論する有識者会議を開催。不動産鑑定士の奥田かつ枝委員は「宅地が中心だった鑑定ニーズは多様化している」として、成長分野で増える鑑定需要にも応えてサービスの質を高める必要性を説いた。
会議では、鑑定士業界の活性化に向けた素案が提示された。国交省は7月上旬にもまとめる最終報告書を踏まえて具体策を練り、国会への法案の提出を目指す。
素案の柱の一つは「不動産の鑑定評価に関する法律」によって定められた鑑定業務の拡大だ。現行法では、農地の取引価格を評価する行為は除外されていたが、農地評価を鑑定士の業務として法的に位置付ける。
http://www.sankei.com/politics/news/170531/plt1705310047-n1.html
さらに鑑定士の業務範囲を、不動産とそれ以外の動産の一体化によって収益を生み出す資産にも広げる。企業が太陽光発電設備を設置した土地を売買したり、訪日観光客の増加に対応してホテルを買収したりする際に鑑定士が関与すれば、不動産取引の信頼感が増す。
素案には、不合格でも一定以上の成績を得た科目は一定期間の受験を免除する新制度の導入や、研修制度の強化も盛った。
国交省によると試験の受験者数は、ピークだった18年の4605人から28年には1568人に激減。合格者に占める50歳以上の割合も18年の1・1%から7・8%に拡大した。
日本不動産鑑定士協会連合会によると、20年に発生したリーマン・ショックなどに伴う深刻な不動産不況で、受験者数の減少に拍車がかかった。企業が社員向けの資格取得支援を縮小したことも影響しており、同会の伊藤裕幸常務理事は「業務の周知と活躍の機会の拡大、鑑定士の専門性向上を一体的に進めて魅力を高めたい」としている。(臼井慎太郎)
2017.5.31 21:36
土地や建物の適正価格を判定するなど不動産取引を円滑にする役割を担う国家資格「不動産鑑定士」の受験者の減少に歯止めがかからない。平成28年の受験者数は10年前に比べて約3分の1まで落ち込み、合格者の高齢化も進展。優秀な人材不足が再生可能エネルギーや農業、観光といった成長分野の不動産投資の足かせになる懸念が浮上しており、国土交通省は法律で定める鑑定士業務の範囲拡大や受験しやすい環境の整備などに乗り出す。
国交省は31日、今後の鑑定評価制度の方向性を議論する有識者会議を開催。不動産鑑定士の奥田かつ枝委員は「宅地が中心だった鑑定ニーズは多様化している」として、成長分野で増える鑑定需要にも応えてサービスの質を高める必要性を説いた。
会議では、鑑定士業界の活性化に向けた素案が提示された。国交省は7月上旬にもまとめる最終報告書を踏まえて具体策を練り、国会への法案の提出を目指す。
素案の柱の一つは「不動産の鑑定評価に関する法律」によって定められた鑑定業務の拡大だ。現行法では、農地の取引価格を評価する行為は除外されていたが、農地評価を鑑定士の業務として法的に位置付ける。
http://www.sankei.com/politics/news/170531/plt1705310047-n1.html
さらに鑑定士の業務範囲を、不動産とそれ以外の動産の一体化によって収益を生み出す資産にも広げる。企業が太陽光発電設備を設置した土地を売買したり、訪日観光客の増加に対応してホテルを買収したりする際に鑑定士が関与すれば、不動産取引の信頼感が増す。
素案には、不合格でも一定以上の成績を得た科目は一定期間の受験を免除する新制度の導入や、研修制度の強化も盛った。
国交省によると試験の受験者数は、ピークだった18年の4605人から28年には1568人に激減。合格者に占める50歳以上の割合も18年の1・1%から7・8%に拡大した。
日本不動産鑑定士協会連合会によると、20年に発生したリーマン・ショックなどに伴う深刻な不動産不況で、受験者数の減少に拍車がかかった。企業が社員向けの資格取得支援を縮小したことも影響しており、同会の伊藤裕幸常務理事は「業務の周知と活躍の機会の拡大、鑑定士の専門性向上を一体的に進めて魅力を高めたい」としている。(臼井慎太郎)