大量のガソリン、クマ撃退用スプレー、火炎瓶、カプサイシンを含んだ液体…。昨年10月の衆院選期間中、首相官邸などを襲撃したとして殺人未遂容疑などで逮捕された臼田敦伸容疑者(50)が乗っていたワンボックスカーからは、大量の危険物が見つかった。周到に用意していたとみられ、大惨事になっていた恐れがある。
臼田容疑者は逮捕後の調べに黙秘していたが、組織に属さず単独でテロを行う「ローンオフェンダー」の疑いが持たれている。近年、こうした単独犯による国政選挙期間中の襲撃事件が相次ぐ。
令和4年7月、奈良市で参院選候補者の応援演説中、安倍晋三元首相が背後から銃撃を受け、死亡。5年4月には和歌山市で衆院補欠選挙の応援演説会場で、岸田文雄前首相に向け爆発物が投げ込まれる事件が起きた。
ローンオフェンダー対策は世界各国の課題となっており、日本も対策を強化している。警察庁は昨年4月、全国の警備、公安部門に司令塔を置き、兆候情報を一元化する態勢を構築した。警視庁公安部は今年4月に、これまで2つの課に分かれていた、情報集約と爆発物の材料となる市販品の購入者への身分確認などの対策を専従で担当する課を新設する。
警察当局は現場の警察官が把握した情報を吸い上げ、サイバーパトロールや人工知能(AI)を使った交流サイト(SNS)などの文脈解析も取り入れる。
ただ、組織性のないローンオフェンダーは端緒がつかみにくく、ネット情報の規制にも限界がある。兆候をいち早くつかみ、犯行の芽を摘めるかが課題となっている。
[産経新聞]
2025/2/25(火) 6:55
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