https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-02-29/S9MVMST0G1KW00
→ソーシャルメディアの共同創業者ら、トランプ氏を訴え−合併遅延か
→ニューヨーク州司法長官、支払い不履行なら資産差し押さえの用意
ニューヨークの裁判所から多額の制裁金支払いを命じられているトランプ前大統領は、最悪のタイミングで資産を手放さざるを得ない状況に追い込まれている。
トランプ氏は28日に裁判所に提出した文書で、4億5400万ドル(約680億円)の支払いを命じられた評決を不服として上訴するために
「危急な状況下で資金を調達する」必要が直ちに生じる可能性があると訴えた。
多くのオーナーにとって極めて厳しい商業用不動産マーケットは、トランプ氏が不動産帝国を手放せば著しい損失を免れないことを意味している。
同氏に残された選択肢はあまりない。
3月25日までに制裁金の全額を支払うか、上訴するならその間の制裁執行を猶予してもらうために少なくとも110%に相当する保証金を預けなくてはならない。
保証金を預けるには手持ちの現金に加えて、不動産を売却、もしくは担保に入れる必要があり、
流動資産のすべてではないにせよ、そのほとんどを数カ月以上取り上げられることになる。
トランプ氏の代理人、アリーナ・ハッバ弁護士は資産売却となれば
「上訴が成功しても取り戻す見込みはなく、被った金銭的な損失も回復するすべがない」と裁判所への文書で訴えた。
一方、ニューヨーク州のジェームズ司法長官は、トランプ氏が期限内に制裁金を支払わず、上訴のための保証金も預けない場合、
トランプ氏の資産を差し押さえる用意があることを明らかにしている。
事態をさらに悪化させているのは、商業用不動産市場だ。
借入コストの上昇に伴い不動産価値は急落し、コロナ禍に始まったテレワークのトレンドはオフィススペースの需要を削り続けている。
不動産分析会社グリーン・ストリートによると、1月までの1年間で価格は22%下落した。
ハッバ氏にコメントを求めたが、返答はない。
■頼みの綱のSPAC
一方でトランプ氏が毎日投稿するソーシャルメディア、トゥルース・ソーシャル・プラットフォームを運営するトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループが、
同氏を窮地から救う可能性もある。同社は2021年、デジタル・ワールド・アクイジションという特別買収目的会社(SPAC)と合併し株式公開企業となることで合意した。
トランプ・メディアに関連する株式の熱狂的な上昇で、トランプ氏には40億ドル近い棚ぼた利益が生じている。
しかし、その利益を収益化するには数カ月は待たなければならない。
一方でトランプ・メディアの共同創業者らは自分たちの保有株に関し、トランプ氏が意図的に価値を引き下げようとしているとして、
28日にデラウェア州の裁判所に訴えた。
この訴訟によってSPACとの合併はさらに遅れる可能性があり、トランプ氏は新たな資金源を失うことになる。
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