自民党は19日、防衛費の倍増を巡り、増税以外の財源確保策を議論する「特命委員会」の初会合を開いた。当面は歳出の見直しや国有資産売却などの具体策を検討するが、党内には倍増に到達する2027年度予算で1兆円強と見込まれる増税の規模を縮小したり、回避したりする道を探るべきだとの声もある。国債の償還期間を延長し、毎年の返済額を減らして財源に充てる案が浮上しているが、恒久財源とはいえないため、財政規律を重視する政府や公明党は冷ややかだ。 (佐藤裕介、曽田晋太郎)
◆統一選への影響に懸念噴出
特命委の委員長に就いた萩生田光一政調会長は初会合で「防衛費の財源について、もう少し腰を据えて議論すべきだとの発言が多数寄せられた」と強調した。増税を含む政府の財源確保策は、議論が拙速だという党内の強い不満を受け、特命委の設置が決まった経緯を踏まえた発言だ。
岸田文雄首相は昨年12月、防衛費を倍増する27年度以降は年4兆円程度の追加財源が必要となり、そのうち1兆円強を増税によって捻出すると表明した。これに対し、借金である国債で賄うよう主張していた安倍派を中心に反発が拡大。物価高が続く中での国民負担増の議論は、今春の統一地方選に影響しかねないとの懸念も噴出した。結果的に増税方針は決めつつ、時期は「24年以降」と幅を持たせ、増税回避の余地を残しているとも受け取れる玉虫色の決着になった。
だが、特命委が検討する歳出の見直しや国有資産売却は、既に増税以外の財源として組み込まれており、大幅な上積みは見込めないのが実情。そこで浮上したのが国債を60年かけて返済する仕組みを改め、防衛費に充てる手法だ。
◆官邸幹部は「決まったこと」
償還期間を延ばせば毎年の返済額が減る分、借金を将来世代に付け回すことになるが、国民に新たな負担を求める必要はなくなるという理屈。安倍派の若手議員は「増税の撤回や増税幅の圧縮につなげたい」と息巻く。初会合でも出席者から「年16兆円ぐらい出てくるのではないか」といった意見が相次いだ。
ただ、政府や公明党は冷淡だ。防衛費増額には安定財源の確保が不可欠という立場で、官邸幹部は「増税は決まったこと」と指摘。公明党の北側一雄副代表も19日の記者会見で「事実上、国債発行が増えることになってしまう。財源になり得ない」と一蹴した。
東京新聞 2023年1月20日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/226245
◆統一選への影響に懸念噴出
特命委の委員長に就いた萩生田光一政調会長は初会合で「防衛費の財源について、もう少し腰を据えて議論すべきだとの発言が多数寄せられた」と強調した。増税を含む政府の財源確保策は、議論が拙速だという党内の強い不満を受け、特命委の設置が決まった経緯を踏まえた発言だ。
岸田文雄首相は昨年12月、防衛費を倍増する27年度以降は年4兆円程度の追加財源が必要となり、そのうち1兆円強を増税によって捻出すると表明した。これに対し、借金である国債で賄うよう主張していた安倍派を中心に反発が拡大。物価高が続く中での国民負担増の議論は、今春の統一地方選に影響しかねないとの懸念も噴出した。結果的に増税方針は決めつつ、時期は「24年以降」と幅を持たせ、増税回避の余地を残しているとも受け取れる玉虫色の決着になった。
だが、特命委が検討する歳出の見直しや国有資産売却は、既に増税以外の財源として組み込まれており、大幅な上積みは見込めないのが実情。そこで浮上したのが国債を60年かけて返済する仕組みを改め、防衛費に充てる手法だ。
◆官邸幹部は「決まったこと」
償還期間を延ばせば毎年の返済額が減る分、借金を将来世代に付け回すことになるが、国民に新たな負担を求める必要はなくなるという理屈。安倍派の若手議員は「増税の撤回や増税幅の圧縮につなげたい」と息巻く。初会合でも出席者から「年16兆円ぐらい出てくるのではないか」といった意見が相次いだ。
ただ、政府や公明党は冷淡だ。防衛費増額には安定財源の確保が不可欠という立場で、官邸幹部は「増税は決まったこと」と指摘。公明党の北側一雄副代表も19日の記者会見で「事実上、国債発行が増えることになってしまう。財源になり得ない」と一蹴した。
東京新聞 2023年1月20日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/226245