【ワシントン=坂本一之】米ツイッターを買収した米電気自動車(EV)大手、テスラ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏は28日、「多様な視点を持つコンテンツモデレーション(投稿監視)の評議会を立ち上げる」とツイートで述べ、コンテンツに関するルールなどを議論する考えを示し、ツイッターの改革に早速乗り出した。同社によって自身のアカウントが凍結されたトランプ前大統領は今回の買収を歓迎していて、投稿規制の緩和に注目が集まっている。
言論の自由を重視するマスク氏は、ツイッター買収の意義について「健全な議論ができる場が重要だ」と述べている。現在、ツイッターは独自ルールを設けて攻撃的、差別的、性的な発言などの削除やアカウントの凍結などをしており、同氏は規制緩和に向けた見直しを進めるとみられる。
規制は抑制的であるべきというのがマスク氏の持論で、トランプ氏のアカウント凍結を撤回する意向を示したこともある。ただ、マスク氏は28日、「評議会を開く前に主要なコンテンツの決定やアカウントの復活はない」と書き込み、独断で決めない方針を示した。
トランプ氏は同日、マスク氏によるツイッター買収に関し、自らのインターネット交流サイト(SNS)に「良識ある人の手に渡り、過激な左翼らに運営されなくなることをうれしく思う」と書き込んだ。
自身のアカウントの扱いについては触れなかったが、2024年大統領選の再出馬に意欲を示すトランプ氏にとって、ツイッターの規制が緩和されれば支持者の発信の活発化が期待できる。
一方、今月4日にマスク氏は「ツイッター買収で、何でもありのアプリ『X』の開発を加速させる」と投稿した。ロイター通信などによると、メッセージの受送信だけでなく、電子決済やオンラインショッピング、タクシーの呼び出しなどさまざまなサービスが統合されたアプリの構想だとみられている。
マスク氏が率いるツイッターでサービス強化や投稿の規制緩和が進めば、米国の社会や政治に変化をもたらすことになりそうだ。
産経ニュース
2022/10/29 18:14
https://www.sankei.com/article/20221029-ULVGNX2BKFNAXPATDFBWPDX6FQ/