2022年10月11日(火)
スーパーカミオカンデで、ニュートリノの質量がゼロでないことを世界で初めて示した物理学者・戸塚洋二さん。ノーベル賞受賞は確実と言われながら、がんのため66歳という若さでこの世を去った。母校の新聞部の高校生たちがその功績を追う。(富士高校創立100周年記念番組より)
旅の始まりは2022年の春。富士山のふもと、静岡県立富士高校には新入生たちの姿があった。
校長:
新入生の皆さん、本校は秋には創立100周年記念式典が挙行されます
記念撮影でぎわう中、正面玄関横の顕彰碑に人だかりはない。宇宙物理学の世界的権威、戸塚洋二さんの碑。富士高校の卒業生だ。ノーベル賞の受賞を果たすことなく、この世を去った戸塚洋二さん。後輩たちが取材の旅を始めた。
【後編】「僕は消滅するだけ」がんと向き合った物理学者
◆戸塚さんを知らない後輩たち
2022年に創立100周年を迎える富士高校。新聞部では記念号の編集会議が行われていた。
新聞部・猪狩部長:
戸塚さんに迫ったところで、おもしろくない。100周年の式典で記念号を配るけれど、大人受けはいいかもしれないけど正直生徒は読まない
新聞部・杉山さん:
自由研究の一番上の賞が戸塚洋二賞。それでずっと知っていて、やはりここで生徒に興味を持ってもらえたらいいなとは思っています
新聞部・大竹副部長:
生きている戸塚先生に面識がある人に直接問い合わせをして…
新聞部・猪狩部長:
まずどういう人か調べて...みんな知らないから
部員たちからあがってきたのは「ノーベル賞を実際とっていたら」「いまいち何をしたのか、よくわからない」といった声。
新聞部・大竹副部長:
前に(富士高新聞で)やっていたのを見たんですけど、そこまで深く掘り下げている感じじゃなかったので、自分たちでもう一回やり直してさらに深くできる可能性はあると思いました
◆手作りの勉強机
戸塚洋二さんは1942年、静岡・富士市の生まれ。地元の小中学校を経て富士高校へと進学する。東京大学に進み29歳で博士号を取得。のちにノーベル賞を受賞する小柴昌俊さんのチームで素粒子研究へと没頭していく。
最大の功績は、宇宙から降り注ぐ素粒子ニュートリノに質量があることを発見したことだ。新聞部の後輩記者たちは、まず地元富士市に今も残る戸塚さんの生家を訪ねた。
Y.T.のイニシャルが入った勉強机
戸塚さんの義理の甥にあたる戸塚浩史さんが、貴重なものを見せてくれた。大切に保存されてきた勉強机だ。
甥・浩史さん:
ここにY.T.と書いてあるので、Totsuka Yojiだと思うんですけどね
この机、戸塚さんが子供のころ手作りしたものだそうだ。机に向かって、戸塚少年はどんな夢を抱いていたのか。
◆手帳に残された亡くなった後の予定
https://www.sut-tv.com/news/indiv/18444/