新型コロナウイルスで影響を受けた福祉施設などを支援する公的融資制度の詐欺事件は、逮捕された大阪府寝屋川市議の吉羽美華容疑者(42)らの間でトラブルが起こり、うち1人が福岡県警に「1億数千万円を盗まれた」と相談し、事件発覚につながったことが2日、捜査関係者への取材で分かった。県警は、この1億数千万円もグループがだまし取った金の一部とみて調べている。
他に詐欺容疑で逮捕されたのは、大阪市中央区、自称無職渡部秀規容疑者(48)ら4人。
捜査関係者によると、昨年2~3月ごろ、渡部容疑者が「吉羽容疑者らに1億数千万円を盗まれた」と福岡中央署に相談。県警が窃盗事件として捜査を進める中で、両容疑者らのグループが独立行政法人「福祉医療機構」(東京)の融資制度の仲介を装い、手数料名目で福祉施設や医療機関から多額の現金を詐取していた疑いが浮上したという。グループが関与した融資は福岡や大阪などで十数件に上り、計十数億円を受け取っていた可能性がある。
県警の説明では、渡部容疑者が福祉医療機構の関連機関の「審議官」をかたり、吉羽容疑者は市議の名刺を示すなどして巧妙に役割分担し、福祉施設側を信用させていた。
吉羽容疑者らは2020年7~12月、福祉医療機構の融資制度を巡り、堺市の福祉施設に「自分たちに融資金の半額を支払えば、特別な融資が受けられ、返済不要になる」などとうその説明を行い、1億2千万円の融資を受けさせ、仲介手数料の名目で現金約6千万円を詐取した疑いが持たれている。
(山本諒、小川勝也)
西日本新聞 2022/8/2 13:00 (2022/8/2 13:32 更新)
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