来春卒業予定の大学生が就職活動を進める中、内々定を出す企業数がピークを迎えている。
東京の都心にオフィスを構える世界的に有名な外資系企業。就活生なら誰もがその名を知るこの会社の幹部が取材に応じた。外資系はなぜ給料が高いのか、とストレートに聞くと、「グローバル人材を確保するためです。日本の企業と同レベルの給与ではいい人材を採用することができません」という答えが返ってきた。
この幹部によると、採用の発想自体が日本企業と異なるという。「私たちが求める人材は専門分野のオーソリティーです。マーケティングならマーケティング、金融なら金融、商品開発なら商品開発、営業なら営業というようにその分野のプロフェッショナルを求めています。職種固定で募集した方が競争率は高くなり、優秀な人材を採用することができます。何百人を新卒として一括採用してその後、営業、マーケティング、総務などの部署に人事異動させていく、いわゆるどの部署でも通用するといったようなオールラウンド型の社員を育てる日本企業とは考え方が根本的に異なります。あくまでも基準は本人の専門性ですから、例えばフィナンシャル系外資系企業のある特定職種は、学部卒生だけでなく、アメリカ等のハーバード、スタンフォード、コロンビア大学など難関大のMBA(大学院経営学修士課程、Master of Business Administration)出身の人材も求めています。日本の東大、京大、早慶という学歴は、ベースにおいて必要であり、一目置かれたとしても、それだけでは通用しない場合もあります。いくら難関大卒でも、職種においての専門性を発展できそうなポテンシャルが見つからなければ採用は難しい」。
社員本人の将来の希望や条件によっては他の外資系企業にジャンプアップ(転職)していく社員もいるが、「それこそが本来のキャリアアップというもの。会社に縛られて社畜になるのはどうかと思いますよ」と打ち明ける。
日本支社の給与体系については「欧米の本社基準で設定されるため日本企業とは相当の差が出る。日本のサラリーマンの平均年収は400万円ほどですが、外資系は職種によっては約2倍の800万円と言われています。職種によりますが、20代半ばで年収1000万円、30代半ばで1200~1500万円、それ以上になる職種もあるのではないでしょうか」。外資系は簡単に社員を解雇するとも聞くが、高齢社員への待遇はどうなのか。
「日本の多くの企業が50歳到達で基本給1割カット、55歳で2割カットなどといった扱いを受けますが、われわれ外資系は仕事の達成度が第一ですから、達成していれば、50歳を過ぎて給与を引き下げるといった思想はまったくありません。年齢はまったく関係なく、与えられた仕事の目標を十分達成できているか、他者を尊重し、チームと協力して達成できているか等々、さまざまな角度から仕事の達成度を適切に評価するよう努めます。評価が良く、変わらず実績を残していれば、給与は現状維持か、上昇するでしょう。逆に若い人でも成績が残せなければ、厳しい決断を迫られることになります。その問題が一時的なのか、長期的に潜在するものなのか、単に本人の能力不足、不適正の問題なのか等々、あらゆる角度から問題の原因を考えていきます。
パフォーマンスが悪いから即給与カットという単純な問題ではなく、長い目で、会社と本人にとってどのような解決を導けば良いのかという点を、時間をとって考察していきます。むしろ、なぜ日本の企業の多くが一律に年齢を基準に50歳過ぎの社員の給与を引き下げるのでしょうか。“中高年差別”のように見えますね」
これほどの厚遇でも日本人の応募者は少ないという。ネックはやはり英語のようだ。「アメリカ、欧州、シンガポール、韓国、中国、日本など多様な国籍の社員がいますが、社内のコミュニケーションはすべて英語です。また、海外支店をつないでのオンライン会議ももちろん英語。新卒採用や中途採用の面接も英語がメインです。その際、日本の採用面接でありがちな自己PRなどはあまりありません。職種によって面接で聞かれる点や確認される点について違いはありますが、自身のこれまでのキャリア(新卒採用ならこれまで学んで来たこと)、業実績、採用後に会社に貢献できることなどを英語で客観的に説明できる能力が必要とされます。一言でいうとビジネスライクということです。年齢、性別、国籍、信条、生い立ちなどは一切関係ありません。そういったことを問題にすること自体、企業価値違反となり、差別的な行動だということで、逆に企業が訴えられるリスクがあります」。
※一部略
ENCOUNT編集部2022.06.22
https://encount.press/archives/323680/
東京の都心にオフィスを構える世界的に有名な外資系企業。就活生なら誰もがその名を知るこの会社の幹部が取材に応じた。外資系はなぜ給料が高いのか、とストレートに聞くと、「グローバル人材を確保するためです。日本の企業と同レベルの給与ではいい人材を採用することができません」という答えが返ってきた。
この幹部によると、採用の発想自体が日本企業と異なるという。「私たちが求める人材は専門分野のオーソリティーです。マーケティングならマーケティング、金融なら金融、商品開発なら商品開発、営業なら営業というようにその分野のプロフェッショナルを求めています。職種固定で募集した方が競争率は高くなり、優秀な人材を採用することができます。何百人を新卒として一括採用してその後、営業、マーケティング、総務などの部署に人事異動させていく、いわゆるどの部署でも通用するといったようなオールラウンド型の社員を育てる日本企業とは考え方が根本的に異なります。あくまでも基準は本人の専門性ですから、例えばフィナンシャル系外資系企業のある特定職種は、学部卒生だけでなく、アメリカ等のハーバード、スタンフォード、コロンビア大学など難関大のMBA(大学院経営学修士課程、Master of Business Administration)出身の人材も求めています。日本の東大、京大、早慶という学歴は、ベースにおいて必要であり、一目置かれたとしても、それだけでは通用しない場合もあります。いくら難関大卒でも、職種においての専門性を発展できそうなポテンシャルが見つからなければ採用は難しい」。
社員本人の将来の希望や条件によっては他の外資系企業にジャンプアップ(転職)していく社員もいるが、「それこそが本来のキャリアアップというもの。会社に縛られて社畜になるのはどうかと思いますよ」と打ち明ける。
日本支社の給与体系については「欧米の本社基準で設定されるため日本企業とは相当の差が出る。日本のサラリーマンの平均年収は400万円ほどですが、外資系は職種によっては約2倍の800万円と言われています。職種によりますが、20代半ばで年収1000万円、30代半ばで1200~1500万円、それ以上になる職種もあるのではないでしょうか」。外資系は簡単に社員を解雇するとも聞くが、高齢社員への待遇はどうなのか。
「日本の多くの企業が50歳到達で基本給1割カット、55歳で2割カットなどといった扱いを受けますが、われわれ外資系は仕事の達成度が第一ですから、達成していれば、50歳を過ぎて給与を引き下げるといった思想はまったくありません。年齢はまったく関係なく、与えられた仕事の目標を十分達成できているか、他者を尊重し、チームと協力して達成できているか等々、さまざまな角度から仕事の達成度を適切に評価するよう努めます。評価が良く、変わらず実績を残していれば、給与は現状維持か、上昇するでしょう。逆に若い人でも成績が残せなければ、厳しい決断を迫られることになります。その問題が一時的なのか、長期的に潜在するものなのか、単に本人の能力不足、不適正の問題なのか等々、あらゆる角度から問題の原因を考えていきます。
パフォーマンスが悪いから即給与カットという単純な問題ではなく、長い目で、会社と本人にとってどのような解決を導けば良いのかという点を、時間をとって考察していきます。むしろ、なぜ日本の企業の多くが一律に年齢を基準に50歳過ぎの社員の給与を引き下げるのでしょうか。“中高年差別”のように見えますね」
これほどの厚遇でも日本人の応募者は少ないという。ネックはやはり英語のようだ。「アメリカ、欧州、シンガポール、韓国、中国、日本など多様な国籍の社員がいますが、社内のコミュニケーションはすべて英語です。また、海外支店をつないでのオンライン会議ももちろん英語。新卒採用や中途採用の面接も英語がメインです。その際、日本の採用面接でありがちな自己PRなどはあまりありません。職種によって面接で聞かれる点や確認される点について違いはありますが、自身のこれまでのキャリア(新卒採用ならこれまで学んで来たこと)、業実績、採用後に会社に貢献できることなどを英語で客観的に説明できる能力が必要とされます。一言でいうとビジネスライクということです。年齢、性別、国籍、信条、生い立ちなどは一切関係ありません。そういったことを問題にすること自体、企業価値違反となり、差別的な行動だということで、逆に企業が訴えられるリスクがあります」。
※一部略
ENCOUNT編集部2022.06.22
https://encount.press/archives/323680/