読売新聞2022/06/06 15:00
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文部科学省は、学生の都市部への集中を避けるために厳格化していた私立大の入学定員の基準を、来春入試から緩和する方向で変更する方針を決めた。近年、入試の追加合格が増え、受験生が入学金の「二重払い」を余儀なくされるケースが目立っていた。文科省は、入学者数に関する大学の裁量を広げ、追加合格の減少を目指す。
文科省は2016~18年度、大都市圏の有名私大に若者が過度に集中するのを避けようと、段階的に入学定員の基準を厳格化。入学者が定員の1・1~1・3倍以上になると、補助金を全額カットすることとした。
文科省は23年春入試から、この基準について、毎年の入学定員でなく、全学年の総定員で判断するよう運用を変更する。これにより、ある年に入学者が入学定員を大幅にオーバーしても、翌年以降に入学者を減らせば、基準をクリアできる。一時的に入学者が増えても、複数年にわたり計画的に入学者を増減できるようになり、大学の裁量が広がる。
大学は一定の入学辞退者を織り込み、定員を上回る合格者を出している。だが16年度以降は、補助金カットの基準が段階的に厳しくなり、徐々に合格者数を絞り込んだ。
その結果、多くの辞退者が出て入学者が想定より減った場合に、授業料収入のため基準ギリギリまで学生を入学させようと、追加合格を出す大学が増えた。
大手予備校・河合塾が早稲田、慶応、上智、法政、同志社、近畿など首都圏や近畿の有名私大計14大学の追加合格者数を調べたところ、19年春入試は6934人で全合格者に占める割合は4・4%だったが、今春入試では1万7062人(8・2%)に増えた。文科省は「大学受験は若者の人生を左右する。追加合格が増えすぎるのは好ましくない」と問題視していた。
私大の一般入試は2月中下旬の合格発表が多い。通常、合格後の入学金支払期限は1~2週間程度で、入学しなくても原則、返還されない。追加合格の発表は、3月下旬にずれ込むこともある。
志望順位の高い大学に追加合格すれば、新たに入学金(私大の平均約25万円)を払い、その大学に入学する学生が多い。大学の場所によっては、下宿先を変えなければならず、入学直前に進学先を変更するコストはさらに増える。(以下リンク先で)