新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患後は、少なくとも110日間、血栓のリスクが高い状態が続くことを示すデータが報告された。
ウメオ大学(スウェーデン)のAnne-Marie Fors Connolly氏らの研究によるもので、詳細は「The BMJ」に2022年4月6日掲載された。
論文の上席著者であるConnolly氏は、「われわれの研究結果は、COVID-19が深部静脈血栓症、肺塞栓症および出血の独立した危険因子であることを示唆している。
これらのイベントリスクを高める因子の保有者は、COVID-19ワクチン接種の重要性が特に高いと言える」と述べている。
COVID-19罹患によって血栓や出血のリスクが上昇することはこれまでにも知られていたが、そのようなハイリスク状態がいつまで続くのかは不明だった。
Connolly氏らは、スウェーデンの患者レジストリを用いて、2020年2月1日〜2021年5月25日に新型コロナウイルス検査が陽性となった105万7,174人と、
年齢、性別、居住地域が一致する407万6,342人のデータセットを作成。深部静脈血栓症、肺塞栓症、出血イベントのリスクを比較した。
解析の結果、COVID-19罹患から60日後までは出血イベントの発生率が有意に高く、深部静脈血栓症は70日後、肺塞栓症は110日後まで、有意差が認められた。
特に肺塞栓症に関しては、COVID-19罹患の1週目の発生率比(IRR)が36.17(95%信頼区間31.55〜41.47)、
2週目にはIRR46.40(同40.61〜53.02)と、極めて大きな発生率比の差が認められた。
また、COVID-19罹患から1〜30日の発生率比は、肺塞栓症31.59(同27.99〜35.63)、深部静脈血栓症5.90(5.12〜6.80)、出血2.48(2.30〜2.68)だった。
潜在的な交絡因子(併存疾患、がん、長期間の抗凝固療法、COVID-19罹患前の静脈血栓塞栓症または出血イベントの既往など)を調整後のリスク比(RR)は、
同順に33.05(32.8〜33.3)、4.98(4.96〜5.01)、1.88(1.71〜2.07)だった。
なお、上記期間のCOVID-19患者の血栓・出血イベントの絶対リスクは、肺塞栓症0.17%(1,761件)、出血0.101%(1,002件)、深部静脈血栓症0.039%(401件)だった。
COVID-19罹患の有無および罹患時の重症度により、対照群、外来治療で完結した群、入院を要した群、およびICU入室を要した群の4群に分けてリスクを比較すると、
肺塞栓症と深部静脈血栓症に関しては、外来治療で完結した群であっても対照群より有意にハイリスクだった。
出血に関しては外来治療で完結した群のみ非有意だった。
このほか、パンデミック第1波でCOVID-19に罹患した患者は、第2波や第3波で罹患した患者に比較し、対照群との血栓・出血イベントのリスク差がより大きかった。
この理由についてConnolly氏らは、「パンデミックの長期化とともに、血栓・出血リスクの高い高齢者の治療技術が向上したこと、
および、ワクチン接種率が上昇したことで説明可能だ」としている。
本論文に対して、英グラスゴー大学のFrederick Ho氏が付随論評を寄せている。
同氏はその中で、「パンデミック発生時に実施していた外出制限などの施策を今、多くの国が解除しCOVID-19と共存を目指し始めている。
しかしこの研究は、軽度のCOVID-19でさえ、血栓塞栓症を含む合併症のリスクがあり、その点への注意を忘れてはならないことを、われわれに伝えている」と付記している。
https://dime.jp/genre/1370628/#:~:text=%E3%83%AF%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3
ウメオ大学(スウェーデン)のAnne-Marie Fors Connolly氏らの研究によるもので、詳細は「The BMJ」に2022年4月6日掲載された。
論文の上席著者であるConnolly氏は、「われわれの研究結果は、COVID-19が深部静脈血栓症、肺塞栓症および出血の独立した危険因子であることを示唆している。
これらのイベントリスクを高める因子の保有者は、COVID-19ワクチン接種の重要性が特に高いと言える」と述べている。
COVID-19罹患によって血栓や出血のリスクが上昇することはこれまでにも知られていたが、そのようなハイリスク状態がいつまで続くのかは不明だった。
Connolly氏らは、スウェーデンの患者レジストリを用いて、2020年2月1日〜2021年5月25日に新型コロナウイルス検査が陽性となった105万7,174人と、
年齢、性別、居住地域が一致する407万6,342人のデータセットを作成。深部静脈血栓症、肺塞栓症、出血イベントのリスクを比較した。
解析の結果、COVID-19罹患から60日後までは出血イベントの発生率が有意に高く、深部静脈血栓症は70日後、肺塞栓症は110日後まで、有意差が認められた。
特に肺塞栓症に関しては、COVID-19罹患の1週目の発生率比(IRR)が36.17(95%信頼区間31.55〜41.47)、
2週目にはIRR46.40(同40.61〜53.02)と、極めて大きな発生率比の差が認められた。
また、COVID-19罹患から1〜30日の発生率比は、肺塞栓症31.59(同27.99〜35.63)、深部静脈血栓症5.90(5.12〜6.80)、出血2.48(2.30〜2.68)だった。
潜在的な交絡因子(併存疾患、がん、長期間の抗凝固療法、COVID-19罹患前の静脈血栓塞栓症または出血イベントの既往など)を調整後のリスク比(RR)は、
同順に33.05(32.8〜33.3)、4.98(4.96〜5.01)、1.88(1.71〜2.07)だった。
なお、上記期間のCOVID-19患者の血栓・出血イベントの絶対リスクは、肺塞栓症0.17%(1,761件)、出血0.101%(1,002件)、深部静脈血栓症0.039%(401件)だった。
COVID-19罹患の有無および罹患時の重症度により、対照群、外来治療で完結した群、入院を要した群、およびICU入室を要した群の4群に分けてリスクを比較すると、
肺塞栓症と深部静脈血栓症に関しては、外来治療で完結した群であっても対照群より有意にハイリスクだった。
出血に関しては外来治療で完結した群のみ非有意だった。
このほか、パンデミック第1波でCOVID-19に罹患した患者は、第2波や第3波で罹患した患者に比較し、対照群との血栓・出血イベントのリスク差がより大きかった。
この理由についてConnolly氏らは、「パンデミックの長期化とともに、血栓・出血リスクの高い高齢者の治療技術が向上したこと、
および、ワクチン接種率が上昇したことで説明可能だ」としている。
本論文に対して、英グラスゴー大学のFrederick Ho氏が付随論評を寄せている。
同氏はその中で、「パンデミック発生時に実施していた外出制限などの施策を今、多くの国が解除しCOVID-19と共存を目指し始めている。
しかしこの研究は、軽度のCOVID-19でさえ、血栓塞栓症を含む合併症のリスクがあり、その点への注意を忘れてはならないことを、われわれに伝えている」と付記している。
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