公開日:2022年3月 7日
制作協力:黒川 友哉<千葉大学医学部附属病院 臨床試験部 助教、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 耳鼻咽喉科専門医>
スギ花粉がピーク時期を迎えつつあります。昨年の今ごろ流行していた新型コロナ変異ウイルスと異なりオミクロンは鼻水やくしゃみなど上気道症状が多いとされ、いわば花粉症の症状とオミクロンの症状が似ています。症状の見分け方や、症状に応じて何科に受診すればいいのかを日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 耳鼻咽喉科専門医の黒川友哉先生に伺いました。
※2022年3月3日段階の情報をもとに作成しています。
―風邪や新型コロナなどのウイルス感染と花粉症はどちらも似たような症状がでますが、共通することと異なることを教えてください。
まず共通しているのは、異物が体の中に入ってきて細胞に悪さをするということです。
風邪や新型コロナの場合は、ウイルスが粘膜に入り、粘膜の細胞のなかでウイルス自体を増やそうとします。そこで体の免疫がウイルスを攻撃しようとして、感染したところに免疫細胞が集まってきます。免疫細胞を集めるために粘膜の血流が増えて、喉や鼻の粘膜が赤く痛みを伴ったり熱を起こしたりと、ウイルスと戦うための炎症反応を起こします。
一方で花粉症やアレルギー性鼻炎の場合は、異物であるスギやヒノキといったアレルギー物質が入ってきて鼻の粘膜にくっつくのですが、そこで引き起こされるのは「アレルギー反応」です。
免疫細胞が異物を排除しようとするので反応としては似ていますが、そこで集まってくる免疫細胞の繰り広げる反応がウイルスの場合とは異なり、「IgE」という抗体を作り、これが肥満細胞という免疫細胞のひとつに「ヒスタミン」を作らせます。
ヒスタミンは鼻の粘膜でムズムズ感を生み出し、鼻水や鼻の粘膜をむくませる起点となる物質ですが、ウイルス感染のように熱を出すということはありません。
粘膜がむくむので、ウイルスの症状と同じように、鼻づまりや嗅覚障害は起こります。 鼻がむくむことで空気の通りが悪くなり、匂いのセンサーが集まる「嗅裂(きゅうれつ)」という鼻の天井にあたる部分に匂いの分子が届きにくくなり、匂いを感じにくくなるという仕組みです。
また味覚の7〜8割は嗅覚が影響しているといわれているため、匂いが鈍くなると味覚も鈍くなります。嗅覚・味覚異常はデルタまでの新型コロナ変異ウイルスと共通する症状とされていました。
また鼻の粘膜に炎症が起きると頭痛を感じることが多いので、花粉症で頭痛が生じることもあります。オミクロンの症状としても頭痛はよく知られており、まさに共通する症状です。
―鼻水やくしゃみ、頭痛などはオミクロンでも花粉症でも起きるということですね。症状の見分けがつきにくそうですが、明確に違う点を教えてください。
===== 後略 =====
全文は下記URLで
https://issue.yahoo.co.jp/vaccine/article/202221/