田中恭太2022年3月8日 12時00分
公正取引委員会による下請法違反での指導・勧告の数が過去最多を更新している。新型コロナの影響に絡んで違反する例もあるほか、最近は原油高などの影響による違反の恐れも公取委は懸念。親事業者と下請け事業者の双方に、注意を呼びかけている。(田中恭太)
公取委の下請取引検査官が昨年、とある設備機器会社の調査に入った。会社から示された発注書や納品書などを確認していると、ある日付が目を引いた。
下請けに特注した機械の納品書。添付された完成品の写真の撮影日が、発注書に書かれた発注日よりも前の日付だった。製品は「発注」前に完成していたことになる。
事情を聴くと、下請けには口頭で発注。コロナの影響で機械の設置が延期になり、発注側の都合で納品を遅らせていた。発注書は、納品時にいわば「後付け」で作られたものだった。下請けに一度注文した品物の受領を拒むのは、下請法の「受領拒否」にあたる。発注書なしに注文していたことも違反にあたるとして、会社には指導が入った。
下請法違反の最多更新が続いています。必ずしも下請けいじめが悪化しているわけではなさそうですが、なぜなのか。公正取引委員会の現場の検査官に取材し、背景を探りました。原油高などでいま特に警戒を強めているという公取委。どんな調査をしているのか、少しご紹介します。
公取委の端緒、それは…
公取委が昨年度、下請法に基づき、指導や、事案の公表が伴う「勧告」をした件数は計8111件で、過去最多を更新。最多更新は13年間続いている。
その背景について、担当者は…
https://www.asahi.com/articles/ASQ373415Q2KUTIL03N.html