文=堂本かおる
社会2022.02.24 11:00
バイデン大統領が、あろうことかテレビカメラの前で「stupid son of a bitch」(アホな最低野郎)と毒づいた。プーチン大統領のことではない。不躾な質問を唐突に叫んだジャーナリストに対してである。実のところ、大統領はマイクのスイッチがオンのままだと気付いていなかったのだ。1月24日、ホワイトハウスでの出来事である。
「son of a bitch」は大統領に限らずとも、まともな人物が公の場で言える言葉ではない。直訳は「bitch(醜悪な女)の息子」だが、文字通りの意味ではなく、相手を罵倒する非常に粗雑なフレーズだ。「bitch」の本来の意味は「雌犬」だが、スラングとして複数の意味を持ち、単体で男性に向かっても使われる 。
言葉の過激さにも関わらず、今回の件はさほど話題にならなかった。もちろん各メディアが一応の報道はしたものの、相手が以前より大統領に挑戦的な質問を繰り返してきた保守系フォックスニュースの記者であったこと、その記者がホワイトハウスでの会議終了後の退室中にいきなり大声で質問を放つマナー違反を犯したこと、大統領は記者に向かってではなく、独り言として呟いたことなどが、取り立てて騒がれなかった理由だ。
それでも大統領が公の場でカースワード(罵り言葉)を口にし、その場面が放映されても、なんとなく許されてしまう時代になってしまったことに、若干の危機を感じざるを得ない。
カースワードはアメリカ文化
カースワードはアメリカの文化だ。よほど信仰熱心であったり、独自の強い道徳心を持つ人以外は、少なくとも私的な場ではカースワードを使う。社会的地位も財産の有る無しも性別も関係ない。人によって使うカースワードの種類と頻度が異なるだけだ。
例えば、うっかりモノを床に落とした時、多くの人が無意識に「Shit!」(クソ!)、「Fuck!」(本来の意味は「性交」だが、今やあらゆる意味合いのスラングとして多様な使われ方をする)、「Damn!」(本来の意味はキリスト教由来の「呪われる」)などと口走る。他者への罵りではなく、自分が犯した失敗への言葉なので特に問題にならない。ただし、親や教師は子供の前で言わないし、子供が使えば注意する。同僚の前で言う人も会議の席では言わない。とはいえ完全に脳内に染み込んでいる言葉ゆえ、会議中であってもとっさに口走ってしまうこともある。その場合は「Excuse me.」と謝罪する。他の会議参加者も同じ言葉を日常的に使っていることから、大抵はそれで済んでしまう。
===== 後略 =====
全文は下記URLで
https://wezz-y.com/archives/94474
社会2022.02.24 11:00
バイデン大統領が、あろうことかテレビカメラの前で「stupid son of a bitch」(アホな最低野郎)と毒づいた。プーチン大統領のことではない。不躾な質問を唐突に叫んだジャーナリストに対してである。実のところ、大統領はマイクのスイッチがオンのままだと気付いていなかったのだ。1月24日、ホワイトハウスでの出来事である。
「son of a bitch」は大統領に限らずとも、まともな人物が公の場で言える言葉ではない。直訳は「bitch(醜悪な女)の息子」だが、文字通りの意味ではなく、相手を罵倒する非常に粗雑なフレーズだ。「bitch」の本来の意味は「雌犬」だが、スラングとして複数の意味を持ち、単体で男性に向かっても使われる 。
言葉の過激さにも関わらず、今回の件はさほど話題にならなかった。もちろん各メディアが一応の報道はしたものの、相手が以前より大統領に挑戦的な質問を繰り返してきた保守系フォックスニュースの記者であったこと、その記者がホワイトハウスでの会議終了後の退室中にいきなり大声で質問を放つマナー違反を犯したこと、大統領は記者に向かってではなく、独り言として呟いたことなどが、取り立てて騒がれなかった理由だ。
それでも大統領が公の場でカースワード(罵り言葉)を口にし、その場面が放映されても、なんとなく許されてしまう時代になってしまったことに、若干の危機を感じざるを得ない。
カースワードはアメリカ文化
カースワードはアメリカの文化だ。よほど信仰熱心であったり、独自の強い道徳心を持つ人以外は、少なくとも私的な場ではカースワードを使う。社会的地位も財産の有る無しも性別も関係ない。人によって使うカースワードの種類と頻度が異なるだけだ。
例えば、うっかりモノを床に落とした時、多くの人が無意識に「Shit!」(クソ!)、「Fuck!」(本来の意味は「性交」だが、今やあらゆる意味合いのスラングとして多様な使われ方をする)、「Damn!」(本来の意味はキリスト教由来の「呪われる」)などと口走る。他者への罵りではなく、自分が犯した失敗への言葉なので特に問題にならない。ただし、親や教師は子供の前で言わないし、子供が使えば注意する。同僚の前で言う人も会議の席では言わない。とはいえ完全に脳内に染み込んでいる言葉ゆえ、会議中であってもとっさに口走ってしまうこともある。その場合は「Excuse me.」と謝罪する。他の会議参加者も同じ言葉を日常的に使っていることから、大抵はそれで済んでしまう。
===== 後略 =====
全文は下記URLで
https://wezz-y.com/archives/94474