アベノミクスの指南役(右が山本氏) ©共同通信社
〈文書入手〉中止のパーティ券代を「活用する」山本元地方創生相に政治資金規正法違反の疑い
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20211201-00050400-bunshun-pol
10月31日投開票の衆院選で落選した山本幸三元地方創生相(73)が、開催予定の政治資金パーティを中止したにもかかわらず、パーティ券代を返金せず、選挙費用などに活用しようとしていたことが、「週刊文春」の取材でわかった。山本氏がパーティ券購入者らに送った文書を入手した。企業側からの事実上の寄附に当たる可能性があり、政治資金規正法違反の疑いがある。
山本氏は旧大蔵官僚で、1993年に初当選。筋金入りのリフレ派で「アベノミクスの指南役」を自任し、第2次安倍政権では地方創生相として初入閣した。当選8回を重ね、岸田派の副会長も務めてきたが、今回の衆院選では小選挙区で敗北。自民党の年齢規程で比例代表には重複立候補していなかったため、落選した。
問題のパーティは、今年6月12日、リーガロイヤルホテル小倉の宴会場で開催される予定だった「山本幸三北九州セミナー」。会費は食事なしの2万円で、安倍晋三元首相が登壇する旨が案内されていたという。
「コロナの影響で8月30日に一度延期され、その後も感染が収束しないことから、12月19日に再延期されていたのです」(福岡県の自民党関係者)
ところが、11月上旬、関係者の元に一通の文書が届く。そこには、落選のお詫びとともに、「山本幸三北九州セミナー」を中止する旨が記されていた。
「中止のお知らせ」文書に記されていた問題の記述
さらに、以下のように明記されていたのだ。
〈既にご購入賜りましたチケット代金は総選挙及び活動費として活用させていただきたく、ご理解ご了承賜りますようお願い申し上げます〉
前出の自民党関係者が言う。
「返金を希望する者は山本事務所まで一報するよう記されていますが、本来、向こうから返金するのが筋でしょう。もしくは、せめてオンラインなどで開催すべきです。あくまで、安倍さんも登場する『パーティの対価』として払ったわけですから。これでは、お金を騙し取られたようなものです」
政治団体「山本幸三後援会」の収支報告書によれば、このセミナーは毎年のように開催されてきた。例えば、2019年は同じリーガロイヤルホテル小倉で6月10日に開催。1300万円の収入を得る一方、会場費として約300万円を支出し、約1000万円の利益を出していた。今回も同程度の利益を得ると見られる。
政治資金規正法に詳しい神戸学院大の上脇博之教授が指摘する。
「政治資金パーティを中止した場合、購入者が返金を望まないケース以外は議員側から返金すべきです。もし企業から受け取ったパーティ券代を返金していない場合、事実上の寄附にあたります。政党支部以外への企業献金は禁じられており、政治資金規正法に違反する可能性も高いでしょう」
総務省選挙部管理課の担当者もこう説明する。
「返金しない場合は寄附に当たるが、企業から政治団体への寄附はできない」
山本幸三事務所に見解を求めたところ、以下のように回答した。
「ご質問のありました政治資金につきましては、法令に従って適正に処理しているところです」
12月1日(水)16時配信の「 週刊文春 電子版 」および12月2日(木)発売の「週刊文春」では、山本氏の経歴やパーティの詳細などについて報じている。
「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年12月9日号
【画像】パーティ券購入者らに送られた問題の文書