コロナ飲み薬、年内にも登場 ウイルス増殖防ぐ 米メルクや塩野義が開発
10/17(日) 7:12配信
新型コロナウイルス感染症の収束に向け、ウイルスの増殖を防ぐ飲み薬が注目を集めている。
米製薬大手メルクは11日、経口の抗ウイルス薬「モルヌピラビル」について、米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請。日本でも近く薬事承認を申請するとみられる。政府は年内の実用化を目指す方針で、国内では塩野義製薬が開発を急いでいる。
愛知医科大の三鴨広繁教授は「軽症者が自分で薬を飲んで重症化を抑制できれば、医療の逼迫(ひっぱく)も和らぐ」と予想する。岸田文雄首相も「コロナ対策の大きな決め手となる取り組みだ」と期待を寄せる。
モルヌピラビルはメルクと米リッジバック・バイオセラピューティクスが共同開発。「RNAポリメラーゼ」というウイルスの増殖に必要な酵素の働きを阻害し、病気の悪化を防ぐ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/10503b7a478f3f619d0e948f40cebd8cbabc2a39
塩野義が開発する抗ウイルス薬「S―217622」は「3CLプロテアーゼ」という別の酵素の働きを阻害し、ウイルスの増殖を防ぐ。9月に最終段階の治験を開始。手代木功社長は「(来年)3月までに最低でも100万人分を用意したい」と年度内の供給開始を目指す。
このほかスイス製薬大手ロシュと米アテアが「AT―527」を開発。最終治験の結果は年末までに出る見通しで、日本では来年の申請を予定している。米製薬大手ファイザーも各国で治験を実施しており、飲み薬タイプの治療薬の開発競争は佳境を迎えつつある。
初期の感染拡大局面で期待された抗インフルエンザ薬アビガンも、モルヌピラビルと同様のRNAポリメラーゼ阻害薬だ。厚生労働省の審査では新型コロナに対する有効性を明確に判断できないとされ、開発した富士フイルム富山化学(東京)が再治験中だ。
飲み薬では抗寄生虫薬イベルメクチンも、医師の判断で治療に使われているが、新型コロナの薬としては未承認。有効性が確認されておらず、医薬品メーカーの興和(名古屋市)が治験を行っている。