「情報公開制度」を利用し、昼は普通のサラリーマンでありながら、
政権の数々の疑惑をつかみ、報道機関にスクープを提供してきた陰の立役者が、“開示請求の鬼”の異名を持つ WADAさん だ。
(中略)
情報公開制度とは、民主主義の根幹である国民の「知る権利」を保障し、誰もが自由に国や自治体が持つ情報にアクセスできるべきという考えから、
2001年に情報公開法が施行されて生まれた制度だ。
インターネットでも簡単にダウンロードできる「開示請求書」に記入し、手数料を払って送れば、手続きは完了。
原則30日以内に開示の可否が決定され、コピー代やスキャン代を払えば、資料を受け取れる。
スウェーデンでは200年の歴史を持ち、アメリカでは1966年に情報自由法が制定されるなど、今や国際社会では“当たり前”の制度となっている。
一方、日本では2017年に森友学園問題で財務省の“決裁文書改ざん”が明るみになったほか、
2018年に安倍晋三元首相の「桜を見る会」の招待者名簿の破棄が明るみになるなど、欠陥を指摘する声が多い。
(中略)
■日本の総務省も海外の制度を見習ってほしい
――公的機関への情報開示請求と言えば、“黒塗り”された資料のイメージがつきものです。日本の情報公開制度でやりにくい点はありますか。
WADA アメリカには情報自由法という法律が日本より遥かに前から存在し、現在も非常に制度が進んでいます。
かつては「存在を知られてはいけない」とまで言われたNSA(アメリカ国家安全保障局)にも、情報公開のセクションがあり、
ホームページに「情報公開はこちらから」と明記されています。
日本のように印紙を貼って郵送で…などという面倒な手続きはなく、インターネットからクレジットカードで支払って開示請求ができます。ジャーナリストへの割引もありますね。
海外の制度は、日本の総務省も調査しています。ですが、調査するだけではなく、見習ってほしいところです。
日本は省庁によっては、黒塗りや不開示の割合が非常に多いので、もし一般の方が「気になる情報を調べたい」と思ったら、
「多少無駄が生じても範囲を広く請求する」ことがコツですね。
(中略)
■対応の悪い官庁、ワースト1位は防衛省
――これまでWADAさんは数多くの開示請求をされてきたわけですが、官庁ごとに対応の良し悪しは違うのでしょうか。
WADA ありますよ。ワースト3位は財務省です。開示請求をする際には、請求する文書の内容について記入するのですが、
こちらが請求した範囲が「必ずしも明確でない」と言って逃げるんです。
その上で公文書の検索URLだけを送ってきます。情報公開法には書き方を丁寧に説明しなければならないとありますが、守られていません
。「一応は投げ返しましたよ」というエクスキューズですね。
ワースト2位は外務省です。こちらは財務省と異なり、“速やかに不開示”になる傾向があります。「以下10件は不開示」という一文だけが返ってきたりと、手抜き感が強いですね。
不祥事案件は請求すると、黒塗りすら来ないこともざらですね。財務省もそうですが、まともな資料が出てきた記憶がありません。
私は請求件数が多いのでデータをPDFにして保管するのですが、データをよくわからない形式で送ってくることも多く、その点も不親切です。
ワースト1位は防衛省ですね。とにかく開示が遅いんです。
■警察庁は資料の保管もしっかりして、開示も早い
(中略)
ベスト1位は警察庁でしょうか。さすがに資料の保管もしっかりしていますし、開示も早いし、対応も丁寧です。
先日、コロナ禍での在宅死の統計データを請求した時も、きちんとした資料が出てきました。
――政権によって開示請求への対応に変化が生まれることもあるのでしょうか。
WADA 民主党政権時は、私が本格的に活動する前なので分かりません。ただ先日、野党合同ヒアリングに出た感覚として、
今の野党は情報開示の重要性を認識しているように思いました。政権交代で大きく変わることを期待しています。
名古屋入管で死亡したウィシュマさんに関する文書や映像も、赤木ファイルも、自民党政権では出てこないと思います。
全文
https://news.yahoo.co.jp/articles/3e17fb06a4ec174a067ec9b67a4aa9b883c3a109?page=4
政権の数々の疑惑をつかみ、報道機関にスクープを提供してきた陰の立役者が、“開示請求の鬼”の異名を持つ WADAさん だ。
(中略)
情報公開制度とは、民主主義の根幹である国民の「知る権利」を保障し、誰もが自由に国や自治体が持つ情報にアクセスできるべきという考えから、
2001年に情報公開法が施行されて生まれた制度だ。
インターネットでも簡単にダウンロードできる「開示請求書」に記入し、手数料を払って送れば、手続きは完了。
原則30日以内に開示の可否が決定され、コピー代やスキャン代を払えば、資料を受け取れる。
スウェーデンでは200年の歴史を持ち、アメリカでは1966年に情報自由法が制定されるなど、今や国際社会では“当たり前”の制度となっている。
一方、日本では2017年に森友学園問題で財務省の“決裁文書改ざん”が明るみになったほか、
2018年に安倍晋三元首相の「桜を見る会」の招待者名簿の破棄が明るみになるなど、欠陥を指摘する声が多い。
(中略)
■日本の総務省も海外の制度を見習ってほしい
――公的機関への情報開示請求と言えば、“黒塗り”された資料のイメージがつきものです。日本の情報公開制度でやりにくい点はありますか。
WADA アメリカには情報自由法という法律が日本より遥かに前から存在し、現在も非常に制度が進んでいます。
かつては「存在を知られてはいけない」とまで言われたNSA(アメリカ国家安全保障局)にも、情報公開のセクションがあり、
ホームページに「情報公開はこちらから」と明記されています。
日本のように印紙を貼って郵送で…などという面倒な手続きはなく、インターネットからクレジットカードで支払って開示請求ができます。ジャーナリストへの割引もありますね。
海外の制度は、日本の総務省も調査しています。ですが、調査するだけではなく、見習ってほしいところです。
日本は省庁によっては、黒塗りや不開示の割合が非常に多いので、もし一般の方が「気になる情報を調べたい」と思ったら、
「多少無駄が生じても範囲を広く請求する」ことがコツですね。
(中略)
■対応の悪い官庁、ワースト1位は防衛省
――これまでWADAさんは数多くの開示請求をされてきたわけですが、官庁ごとに対応の良し悪しは違うのでしょうか。
WADA ありますよ。ワースト3位は財務省です。開示請求をする際には、請求する文書の内容について記入するのですが、
こちらが請求した範囲が「必ずしも明確でない」と言って逃げるんです。
その上で公文書の検索URLだけを送ってきます。情報公開法には書き方を丁寧に説明しなければならないとありますが、守られていません
。「一応は投げ返しましたよ」というエクスキューズですね。
ワースト2位は外務省です。こちらは財務省と異なり、“速やかに不開示”になる傾向があります。「以下10件は不開示」という一文だけが返ってきたりと、手抜き感が強いですね。
不祥事案件は請求すると、黒塗りすら来ないこともざらですね。財務省もそうですが、まともな資料が出てきた記憶がありません。
私は請求件数が多いのでデータをPDFにして保管するのですが、データをよくわからない形式で送ってくることも多く、その点も不親切です。
ワースト1位は防衛省ですね。とにかく開示が遅いんです。
■警察庁は資料の保管もしっかりして、開示も早い
(中略)
ベスト1位は警察庁でしょうか。さすがに資料の保管もしっかりしていますし、開示も早いし、対応も丁寧です。
先日、コロナ禍での在宅死の統計データを請求した時も、きちんとした資料が出てきました。
――政権によって開示請求への対応に変化が生まれることもあるのでしょうか。
WADA 民主党政権時は、私が本格的に活動する前なので分かりません。ただ先日、野党合同ヒアリングに出た感覚として、
今の野党は情報開示の重要性を認識しているように思いました。政権交代で大きく変わることを期待しています。
名古屋入管で死亡したウィシュマさんに関する文書や映像も、赤木ファイルも、自民党政権では出てこないと思います。
全文
https://news.yahoo.co.jp/articles/3e17fb06a4ec174a067ec9b67a4aa9b883c3a109?page=4