国際自然保護連合(IUCN)は4日、絶滅の危機にある生物を評価する「レッドリスト」を更新、タイセイヨウクロマグロなどいくつかのマグロの危機ランクを引き下げた。
予想以上に早く回復できたのは、マグロの乱獲を止めようという過去10年の取り組みがうまくいっている証しだ。ただし、今回審議の対象になったのはマグロだけではない。研究者たちは他の多くの海洋生物がいまだ危機にあると警告している。例えば、世界のサメやエイの3分の1以上の種は、乱獲、生息地の喪失、気候変動などにより、依然として絶滅の危機に瀕している。
「良い知らせは、持続可能な漁業は可能ということです」と、米アリゾナ州立大学の海洋生物学者ベス・ポリドロ氏は語る。「私たちは、絶滅の危機に追いやるほど個体数を減らすことなく、魚を持続的に食べることができるのです」
一方で、このような状況の変化が、好きなだけ魚を取るための動機になってはならないと同氏は警告する。
「うまくいっていることは継続する必要があります」
世界中の1万6000人の専門家に支えられている組織IUCNは、それぞれの生物の状況を評価し、その危機の度合いをレッドリストにおいていくつかのカテゴリーに分類している。今回の更新では、一部の動物がより危機的な状態になったことも発表された。気候変動の影響を特に受けやすいコモドオオトカゲはその代表的な例である。
回復しつつあるマグロたち
ポリドロ氏は20年近くにわたり、IUCNで60種以上のマグロ類とカジキ類の状態を評価する専門家グループに所属している。同氏のチームは2011年に初めて包括的な調査結果を発表し、商業的に漁獲されているマグロ類の多くが絶滅の危機に瀕していることを明らかにした。
それから10年がたち、これほどまでに状況が改善されていることに同氏は驚いているという。
今回の更新で、タイセイヨウクロマグロ(Thunnus thynnus)は絶滅危惧種(endangered)から低危険種(least concern)に引き下げられた。キハダ(Thunnus albacares)とビンナガ(Thunnus alalunga)も、近危急種(near threatened)から低危険種に引き下げられた。
ミナミマグロ(Thunnus maccoyii)は、近絶滅種(critically endangered)から絶滅危惧種に引き下げられているものの、危険な状態は続いている。太平洋のクロマグロ(Thunnus orientalis)も危急種(vulnerable)から近危急種に変更されたが、これは最新の評価データが得られたためであって個体数は減ったままだとIUCNはプレスリリースで述べている。
メバチ(Thunnus obesus)とカツオ(Katsuwonus pelamis)の評価は前回と同じで、それぞれ危急種と低危険種に分類されている。
マグロというと、一般には食材としてしか認識されていないかもしれないが、実に驚異的な生き物だ。例えば、タイセイヨウクロマグロは体長2m、体重250キロ以上にまで成長し、時速60kmほどのスピードで泳ぐこともできる。
ただし、アメフト選手をも上回るそのサイズをもってしても、現代の漁法には太刀打ちできない。1970年代に入り、繁殖のために毎年メキシコ湾に集まる大型のタイセイヨウクロマグロを、延縄漁船が大量に取るようになった。同時に、北米東海岸で採食する幼魚が網漁で捕獲されるようになった。
しかし、制限された漁獲枠が正しく実行されたおかげで、個体数が回復してきたとポリドロ氏は言う。また、データが改善されたことで、より正確な評価と管理上の決定が可能になった。
ただ、いくつか注意したい点がある。マグロは世界中の広大な海に生息し、生活環(ライフサイクル)を通じてさまざまな海域を利用する。そのため、個体数管理はかなり複雑になる。
「インド洋のキハダは大きなブラックホールの中にいるようなもので、正確な状況はわかりませんが、乱獲されているようです」とポリドロ氏は言う。
同様に、タイセイヨウクロマグロのうち西大西洋の個体群は、1970年代から激減しており、まだ完全には回復していないという。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD086W50Y1A900C2000000/
【特集】 「あすから釣り禁止」巨大マグロの聖地に衝撃 資源保護への効果は [朝一から閉店までφ★]
http://2chb.net/r/newsplus/1632378829/
予想以上に早く回復できたのは、マグロの乱獲を止めようという過去10年の取り組みがうまくいっている証しだ。ただし、今回審議の対象になったのはマグロだけではない。研究者たちは他の多くの海洋生物がいまだ危機にあると警告している。例えば、世界のサメやエイの3分の1以上の種は、乱獲、生息地の喪失、気候変動などにより、依然として絶滅の危機に瀕している。
「良い知らせは、持続可能な漁業は可能ということです」と、米アリゾナ州立大学の海洋生物学者ベス・ポリドロ氏は語る。「私たちは、絶滅の危機に追いやるほど個体数を減らすことなく、魚を持続的に食べることができるのです」
一方で、このような状況の変化が、好きなだけ魚を取るための動機になってはならないと同氏は警告する。
「うまくいっていることは継続する必要があります」
世界中の1万6000人の専門家に支えられている組織IUCNは、それぞれの生物の状況を評価し、その危機の度合いをレッドリストにおいていくつかのカテゴリーに分類している。今回の更新では、一部の動物がより危機的な状態になったことも発表された。気候変動の影響を特に受けやすいコモドオオトカゲはその代表的な例である。
回復しつつあるマグロたち
ポリドロ氏は20年近くにわたり、IUCNで60種以上のマグロ類とカジキ類の状態を評価する専門家グループに所属している。同氏のチームは2011年に初めて包括的な調査結果を発表し、商業的に漁獲されているマグロ類の多くが絶滅の危機に瀕していることを明らかにした。
それから10年がたち、これほどまでに状況が改善されていることに同氏は驚いているという。
今回の更新で、タイセイヨウクロマグロ(Thunnus thynnus)は絶滅危惧種(endangered)から低危険種(least concern)に引き下げられた。キハダ(Thunnus albacares)とビンナガ(Thunnus alalunga)も、近危急種(near threatened)から低危険種に引き下げられた。
ミナミマグロ(Thunnus maccoyii)は、近絶滅種(critically endangered)から絶滅危惧種に引き下げられているものの、危険な状態は続いている。太平洋のクロマグロ(Thunnus orientalis)も危急種(vulnerable)から近危急種に変更されたが、これは最新の評価データが得られたためであって個体数は減ったままだとIUCNはプレスリリースで述べている。
メバチ(Thunnus obesus)とカツオ(Katsuwonus pelamis)の評価は前回と同じで、それぞれ危急種と低危険種に分類されている。
マグロというと、一般には食材としてしか認識されていないかもしれないが、実に驚異的な生き物だ。例えば、タイセイヨウクロマグロは体長2m、体重250キロ以上にまで成長し、時速60kmほどのスピードで泳ぐこともできる。
ただし、アメフト選手をも上回るそのサイズをもってしても、現代の漁法には太刀打ちできない。1970年代に入り、繁殖のために毎年メキシコ湾に集まる大型のタイセイヨウクロマグロを、延縄漁船が大量に取るようになった。同時に、北米東海岸で採食する幼魚が網漁で捕獲されるようになった。
しかし、制限された漁獲枠が正しく実行されたおかげで、個体数が回復してきたとポリドロ氏は言う。また、データが改善されたことで、より正確な評価と管理上の決定が可能になった。
ただ、いくつか注意したい点がある。マグロは世界中の広大な海に生息し、生活環(ライフサイクル)を通じてさまざまな海域を利用する。そのため、個体数管理はかなり複雑になる。
「インド洋のキハダは大きなブラックホールの中にいるようなもので、正確な状況はわかりませんが、乱獲されているようです」とポリドロ氏は言う。
同様に、タイセイヨウクロマグロのうち西大西洋の個体群は、1970年代から激減しており、まだ完全には回復していないという。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD086W50Y1A900C2000000/
【特集】 「あすから釣り禁止」巨大マグロの聖地に衝撃 資源保護への効果は [朝一から閉店までφ★]
http://2chb.net/r/newsplus/1632378829/