日刊ゲンダイ 9/9(木) 9:06
【ポストコロナ時代の勝ち組企業】
アルペン
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東京五輪効果とアウトドアブームでスポーツ用品業界は好決算に沸いた。
スポーツ用品大手のアルペンの2021年6月期の連結決算は純利益が107億円だった。前年はわずか1700万円だったから様変わりだ。売上高は前年比7.0%増の2332億円で、売り上げ、利益ともに過去最高を更新した。コロナ禍で3密を避けられるレジャーとしてゴルフやキャンプが人気を集めた。
既存店売上高は同4.2%増。新型コロナウイルス感染拡大に伴う部活動の制限でサッカーなどの競技スポーツ用品の売り上げは伸び悩んだが、ゴルフやアウトドア関連は同10%以上伸び、業績を牽引した。
ゴルフは初心者向けの製品が特に好調だった。専門店の「ゴルフ5」(195店=8月末)では全店に初心者の相談窓口を設置し、新しい需要を積極的に取り込んだ。ゴルフ関係の売上高は889億円で前年比17.8%増。最も高い伸び率を記録した。アウトドアに特化した専門店「アルペンアウトドアーズ」(14店)で稼いだ。
アルペンは1972年、名古屋市でスキーのプロショップとして産声を上げ、80年代のスキーブームとともに成長してきた。
もともと変わり身の早さが身上の会社だ。現在はスキーやスノーボードなどのウインタースポーツ用品が全体の売り上げに占める割合は2.8%に過ぎない。野球、サッカーやスポーツアパレルが1337億円と過半(57.3%)を占める。
22年6月期は会計基準の変更で単純比較はできないが、純利益は115億円を見込む。株式市場では五輪の反動もあり、「業績は伸び悩む」との指摘もあったが「さらに続伸するのはサプライズだった」(スポーツ業界を担当するアナリスト)。配当を年50円と5円増配するのと相まって株価は急騰。8月13日には一時、年初来高値の3865円をつけた。
苦境を乗り越えて過去最高益を達成
会社概要と業績推移(C)日刊ゲンダイ
アルペンは数年前まで業績悪化に苦しんでいた。19年1月、社員の1割に相当する300人の希望退職を募集。21年2月には、創業者で会長の水野泰三が強制わいせつ致傷の疑いで逮捕(不起訴)されるスキャンダルに見舞われ、会長辞任に追い込まれた。
そんな苦境を乗り越えて過去最高益を達成したわけだ。今年6月にはコロナ禍で業務に精励し、業績拡大に貢献した従業員に報いるため、アルバイトを含む全従業員を対象に総額7億円の特別一時金を支給した。
創業者、水野泰三の長男である2代目社長の水野敦之は、ポストコロナ時代をどう乗り切ろうとしているのか。幼少期からスキーに熱中。法政大学在学中、アルペンスキーの選手として冬季オリンピックの出場を目指したが、ケガで断念するという苦い挫折を経験している。
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