9/9(木) 10:11
配信
毎日新聞
ひきこもりの人がオンラインでゆるやかにつながれる「電子居場所」が、兵庫県の委託を受けた複数の支援団体によって運営されている。名前や顔を出さずに参加することができ、利用者から「話を聞いて気が楽になった」「交通費がいらず助かる」と好評だ。新型コロナウイルスの感染拡大でリアルな行き場から遠ざかっている人たちにも、身近な人以外の「生の声」に触れる場所として活用されている。【木田智佳子】
◇「心の重荷を降ろして」
80代の親が50代のひきこもりの子を抱える「8050問題」が社会の課題となる中、県は2020年8月、電子居場所を開設した。集いや支援機関に行き着く前の「中間的・過渡的な居場所」との位置づけという。今春まで10コースの居場所が延べ166回開かれた。1回の平均参加者は3人未満で当初の予想を下回ったが、「一歩でも半歩でも次に踏み出せるきっかけになれば」(県担当者)とし、21年も7月にスタート。丹波、西宮、明石、姫路の4市と上郡町を拠点とする当事者や親の会などが計七つの電子居場所を運営している。
電子居場所の一覧やスケジュールは「兵庫ひきこもり情報ポータルサイト」の「情報が必要な人へ」の欄内に掲載。希望の居場所を選んで直接申し込む。
記者は8月下旬、運営者と参加者の了承を得て二つの電子居場所に参加した。いずれも開始時に「聞いた話を口外しない」「人を攻撃、否定しない」とのルールが説明された。途中の参加、退席は自由で顔出しをせず、他の参加者の話を聞くだけの人もいた。ひきこもりの経験を明かす人や、家族と対話ができず悩む人が助言を求める場面もあった。運営者が語った「生きていくことが一番。孤立から抜け出す方法はちゃんとある」「楽しい、気が紛れたと言ってもらえる人が一人でもいれば続けようと思う」との言葉が温かく感じられた。
「未来の居場所@陽だまりの会」で進行役を務める県立大看護学部の川田美和准教授(精神看護学)は「安心して心の重荷を降ろし、新しい出会いやつながりが広がる場になれば」と期待する。
ポータルサイトでは、電子居場所以外に、電話や直接相談ができる県内の支援情報も紹介している。
◇リアルな集いも
「未来の居場所@陽だまりの会」はゲストを招いた電子居場所の集いを開いている。10日は午後2時〜3時半の開催で、「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」理事でジャーナリストの池上正樹さんが参加する。
また、電子居場所「Be with」を運営するひきこもり当事者団体「エスポワール兵庫」は、コロナ下で中断していたリアルな集いを10カ月ぶりに開く。20日午後1時半〜3時ごろまで、姫路市本町の複合施設「イーグレひめじ」の4階セミナー室Aで家族・応援者の会、3階グループ活動室で当事者会が行われる。参加は家族が新型コロナウイルスワクチンの2回接種を済ませている人に限る。会費500円で当事者は無料。当日先着15〜20人で、予約は不要。緊急事態宣言が延長された場合でも開催予定だが、代表の島田誠さんに問い合わせてほしいとしている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/17fcd3f06bf78bbdfbe431201eb0a62105d16e83
配信
毎日新聞
ひきこもりの人がオンラインでゆるやかにつながれる「電子居場所」が、兵庫県の委託を受けた複数の支援団体によって運営されている。名前や顔を出さずに参加することができ、利用者から「話を聞いて気が楽になった」「交通費がいらず助かる」と好評だ。新型コロナウイルスの感染拡大でリアルな行き場から遠ざかっている人たちにも、身近な人以外の「生の声」に触れる場所として活用されている。【木田智佳子】
◇「心の重荷を降ろして」
80代の親が50代のひきこもりの子を抱える「8050問題」が社会の課題となる中、県は2020年8月、電子居場所を開設した。集いや支援機関に行き着く前の「中間的・過渡的な居場所」との位置づけという。今春まで10コースの居場所が延べ166回開かれた。1回の平均参加者は3人未満で当初の予想を下回ったが、「一歩でも半歩でも次に踏み出せるきっかけになれば」(県担当者)とし、21年も7月にスタート。丹波、西宮、明石、姫路の4市と上郡町を拠点とする当事者や親の会などが計七つの電子居場所を運営している。
電子居場所の一覧やスケジュールは「兵庫ひきこもり情報ポータルサイト」の「情報が必要な人へ」の欄内に掲載。希望の居場所を選んで直接申し込む。
記者は8月下旬、運営者と参加者の了承を得て二つの電子居場所に参加した。いずれも開始時に「聞いた話を口外しない」「人を攻撃、否定しない」とのルールが説明された。途中の参加、退席は自由で顔出しをせず、他の参加者の話を聞くだけの人もいた。ひきこもりの経験を明かす人や、家族と対話ができず悩む人が助言を求める場面もあった。運営者が語った「生きていくことが一番。孤立から抜け出す方法はちゃんとある」「楽しい、気が紛れたと言ってもらえる人が一人でもいれば続けようと思う」との言葉が温かく感じられた。
「未来の居場所@陽だまりの会」で進行役を務める県立大看護学部の川田美和准教授(精神看護学)は「安心して心の重荷を降ろし、新しい出会いやつながりが広がる場になれば」と期待する。
ポータルサイトでは、電子居場所以外に、電話や直接相談ができる県内の支援情報も紹介している。
◇リアルな集いも
「未来の居場所@陽だまりの会」はゲストを招いた電子居場所の集いを開いている。10日は午後2時〜3時半の開催で、「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」理事でジャーナリストの池上正樹さんが参加する。
また、電子居場所「Be with」を運営するひきこもり当事者団体「エスポワール兵庫」は、コロナ下で中断していたリアルな集いを10カ月ぶりに開く。20日午後1時半〜3時ごろまで、姫路市本町の複合施設「イーグレひめじ」の4階セミナー室Aで家族・応援者の会、3階グループ活動室で当事者会が行われる。参加は家族が新型コロナウイルスワクチンの2回接種を済ませている人に限る。会費500円で当事者は無料。当日先着15〜20人で、予約は不要。緊急事態宣言が延長された場合でも開催予定だが、代表の島田誠さんに問い合わせてほしいとしている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/17fcd3f06bf78bbdfbe431201eb0a62105d16e83