米食品医薬品局(FDA)が数週間以内にも米ファイザーの新型コロナウイルスワクチンを正式承認する可能性がある。
同ワクチンは現時点ではまだ緊急使用許可しか下りていない。
正式承認されれば米国の新型コロナ流行をめぐる状況が変わるかもしれない。
まず第1に、ワクチンを接種しようと思う人が増える可能性がある。米国ではまだ対象者の30%以上が接種を受けていない。
新型コロナワクチンのメーカーは、緊急使用許可を得るために、約3カ月分の臨床試験データを提出していた。
これにはワクチンを完全接種した被験者の安全性に関する2カ月分以上のデータが含まれる。
ほとんどの副反応は、接種の2〜3カ月後に表れる。
しかしこれだけのデータでは不十分だと考える人もいる。
正式承認されるためには、臨床試験ではなく実世界の接種で得られる安全性や有効性に関するデータが必要とされる。
米疾病対策センター(CDC)は実世界のワクチン接種に関するデータを追跡しており、米国で接種を受けた人は1億6500万人を超す。
こうしたデータが助けになって、ワクチンは危険ではないと納得する人が増えるかもしれないと専門家は期待する。
カイザーファミリー財団が実施した意識調査では、未接種の成人の3割が、ワクチンが正式承認されれば接種を受ける可能性が高くなると答えていた。
ただ、一部にはワクチンに関する混乱もあった。「ワクチンは既に正式承認されていると思う」「よく分からない」という回答は3分の2に上っている。
フィラデルフィア小児病院ワクチン教育センター長で、FDAのワクチン諮問委員会の委員を務めるポール・オフィット氏によると、
FDAは現在、新型コロナワクチンの承認に向けて「24時間態勢で」動いているという。
ワクチンが正式承認されれば、職場で義務付けることも容易になり、まだ接種していない人の多くは、解雇されないために接種しなければならなくなる。
「FDAの承認だけでは多くの人に接種してもらうことはできない。しかし医療制度や雇用主はもっと積極的に接種を義務付けられるようになる」
「ワクチンと予防接種の義務付けには前例がある」。ノースウェスタン大学ファインバーグ医学校のマイケル・ウルフ氏はそう指摘する。
米雇用機会均等委員会によれば、職場で新型コロナワクチンの接種を義務付ける法的権限は既にある。
しかし正式承認されれば、法的な異議申し立ての説得力が薄れる。
ノースウェスタン大学コミュニケーション校のエリック・ニスベット教授は「接種率70%の目標を達成したければ、アメとムチが必要だ」と強調した。
https://www.cnn.co.jp/usa/35175017.html