首都ロンドンを含むイングランドで新型コロナウイルス対策の行動規制をほぼすべて撤廃した英国で、
新規のコロナ感染者数が減少傾向となり、専門家の間で議論を呼んでいる。
学校が夏休みに入ったために子供たちの間での感染拡大が止まったことなどが理由として推測される一方、
大規模なワクチン接種の展開により、人口の一定程度が免疫をつけることで感染拡大が収束する
「集団免疫」の獲得に近づいていると指摘する声も出ている。
英国では4月中旬〜5月中旬、1日当たりの新規感染者数が2000人程度にまで減ったが、
インド由来の変異株「デルタ株」の流行に伴い、感染者数が急増。7月17日には5万4000人を超えた。
一方で、4月以降、新型コロナ対策の行動規制の緩和が進み、7月上旬にはサッカー欧州選手権で
イングランド代表の試合があるたびに、マスクなしのサポーターらがロンドンの一部の街頭を埋め尽くす事態にもなった。
感染者数が急増する中、新規死者数は4月以降、おおむね1桁〜2桁台と比較的低く推移している。
このため、ワクチン接種の進展が奏功していると判断した英政府は7月19日に、人口の85%近くが集中するイングランドで
残っていた行動規制をほぼすべて撤廃。この英政府の判断に対し、世界各国の専門家が連名で英医学誌ランセットに
「危険で非倫理的な実験に乗り出している」と批判する書簡を寄せ、再考を促した。
しかし、増加してきた新規感染者数は7月17日を境に下降。27日には2万4000人を切るまで減少した。
その後、若干の増加はあったものの、30日段階では2万9622人(死者数は68人)と、ピーク時と比べて低い基調が続いている。
「インフルエンザのように、コロナの存在を受け入れ、対処法を見いだしていかねばならない」
と規制撤廃への理解を求めてきたジャビド保健相は7月上旬、規制撤廃後に1日当たり10万人程度まで新規感染者数が増える可能性にも言及。
感染者の増加が危ぶまれていたため、規制撤廃後の感染者数の減少は「科学者たちを当惑させている」(英紙タイムズ)状況だ。
減少と免疫獲得の広がりを関連付ける声もある。英紙デーリー・テレグラフは、デルタ株流行の収束には人口の93%が免疫を獲得する必要があり、
現段階で英人口の87%が免疫を獲得しているとするユニバーシティー・カレッジ・ロンドンのグループの分析結果を報じ、
「集団免疫にかなり近づいている」とするブリストル大のデービッド・マシュー准教授(ウイルス学)のコメントなどを伝えた。
英国家統計局によると、イングランドでは成人の約92%が、感染かワクチン接種を通じて新型コロナの抗体を持っていると見積もられている。
一方、英紙ガーディアンは、免疫獲得を主要因にするには、感染者の減り方が急激すぎると、疑問視する見方も紹介した。
https://mainichi.jp/articles/20210731/k00/00m/030/194000c
クリケットの試合を楽しむ観客ら。ほとんどの人がマスクを着用していない=英国のバーミンガムで2021年7月13日、AP
【イングランド公衆衛生庁】コロナワクチン接種で6万人が救命された、感染の予防につながったのは2200万人以上
http://2chb.net/r/newsplus/1627719067/