米連邦議会=ワシントンで2017年6月、高本耕太撮影
2021年度の米財政赤字335兆円 議会予算局見通し
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20210702-00000004-mai-bus_all 米議会予算局(CBO)は1日、2021会計年度(20年10月〜21年9月)の連邦政府の財政赤字が3兆30億ドル(約335兆円)になるとの見通しを示した。過去最大だった20年度(3兆1290億ドル)から4%減少するが、新型コロナウイルス流行前の19年度の約3倍の高水準となる。
5月時点で成立している歳出法に基づいて試算した。3月に成立した1・9兆ドル規模の新型コロナ経済対策に伴う歳出増で、21年度の財政赤字は2月時点の見通し(2兆2580億ドル)から33%増加した。この結果、21年度末の連邦政府債務残高(民間保有分)は23兆ドル、国内総生産(GDP)比で102・7%と75年ぶりの高水準に膨らむと見積もった。
長期見通しでは、22年度〜31年度の10年間で平均1・2兆ドルの財政赤字が続くとした。31年度の債務残高は35兆ドルに拡大し、GDP比は106・4%と、過去最大だった第二次世界大戦直後の1946年と同水準に達すると予測した。
経済再開に伴い足元で3%台に急上昇している物価上昇(インフレ)率は、21年末に2・8%、31年にかけて平均2・1%に収束すると予測した。米連邦準備制度理事会(FRB)が金融緩和の解除に向かうなか、国債の金利は緩やかに上昇すると想定し、国債利払い費は21年度の3310億ドルから31年度には9100億ドルに膨張すると見込んだ。
今回の見通しには、バイデン政権と上院超党派グループが合意した10年間で1・2兆ドル規模のインフラ投資計画や、バイデン政権が提案した教育・子育て支援を柱とする1・8兆ドル規模の格差是正計画は含まれていない。ただ、いずれの計画も徴税強化や法人増税などで最長15年かけて財源をまかなう予定で、長期的には財政赤字への影響はなくなる計算になる。【ワシントン中井正裕】