◆ ツイッター投稿の仙台高裁 岡口裁判官の訴追決定 裁判官訴追委
ツイッターへの投稿をめぐって罷免を求める訴追請求が出されていた仙台高等裁判所の岡口基一裁判官について、国会の裁判官訴追委員会は、罷免するかどうかを審理する弾劾裁判所に訴追することを決めました。SNSの発信をめぐって裁判官が訴追されるのは初めてです。
仙台高等裁判所の岡口基一裁判官(55)のツイッターへの投稿をめぐって、罷免を求める訴追請求が出されたことから、衆・参の国会議員で構成される裁判官訴追委員会が本人の主張も聞くなどして、訴追すべきかどうか検討してきました。
その結果、16日の委員会で、委員の3分の2以上が訴追に賛成したとして、岡口裁判官を弾劾裁判所に訴追することを決めました。
今後、衆・参の議員で構成される弾劾裁判が開かれ、罷免するかどうか判断することになります。
裁判官訴追委員会の新藤義孝委員長は、委員会終了後「具体的な経緯や根拠は、今後の弾劾裁判で明らかにしたい」と述べました。
裁判官が弾劾裁判所に訴追されるのは今回が10件目で、SNSの発信をめぐって訴追されるケースは初めてです。
岡口裁判官は、民事裁判を担当する裁判官で、ツイッターなどのSNSを使って積極的に情報発信を行う異色の裁判官として知られています。
岡口裁判官は、女子高校生が殺害された事件の遺族についての投稿で、裁判官の品位をおとしめたなどとして、平成30年と去年の2回、最高裁判所の分限裁判で戒告の懲戒処分を受けています。
■ 弁護士「罷免に該当するような行為はない」
岡口裁判官の代理人を務める弁護士は「理由の詳細を把握していないが、岡口氏には罷免に該当するような行為は全くなく、決定は極めて遺憾だ。訴追は、裁判官の独立、裁判官の人権や表現の自由に対する重大な脅威であり、国民の権利に対し大きな影響を及ぼすものだ。代理人として、弾劾裁判で罷免の理由がないことを主張していく」というコメントを出しました。
■ 女子高校生殺害事件の遺族「訴追決まり一安心」
女子高校生が殺害された事件の遺族で、罷免を求める訴追請求をしていた岩瀬正史さん(52)は、NHKの取材に対し「訴追されることが決まって一安心した。裁判官がSNSなどで情報発信することは全くかまわないと考えているが、その表現の内容によっては傷つく人がいることも分かってほしかった。表現の自由と言っても一定の限度はあるので、それを理解できていない人が裁判官を務めていることに強い疑問を感じている」と話しています。
■ 裁判官訴追委員会と弾劾裁判所
裁判官は司法の独立を守る観点から憲法によって身分が保障されています。
不祥事を起こした裁判官であっても、裁判所が科すことができる懲戒処分は戒告か科料までで、裁判官を罷免、つまり辞めさせるかどうかは国会が設ける弾劾裁判所が判断することになっています。
国会の裁判官訴追委員会は、通常の刑事事件で言えば検察にあたる役割があります。
衆・参両院の議員で構成され、国民などから裁判官を罷免するべきだという請求があると、対象の裁判官について調べたうえで、職務上の義務に著しく違反するなど弾劾裁判を開く必要があると判断した場合に、刑事事件の起訴にあたる「訴追」を行います。
訴追を受けて開かれる弾劾裁判所も国会議員で構成され、罷免すべきか、罷免すべきではないかが判断されます。
裁判官訴追委員会によりますと、この制度ができた昭和23年から去年までに、訴追委員会が受理した請求は2万2000件余りで、このうち訴追されたのは9件です。
また、このうち、弾劾裁判の結果、7人が罷免と判断されています。
平成に入って以降、罷免と判断されたのは3人で、弾劾裁判にかけられる前にストーカー行為や盗撮などをしたとして、いずれも刑事事件で有罪や罰金刑になっていました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210616/k10013088131000.html
ツイッターへの投稿をめぐって罷免を求める訴追請求が出されていた仙台高等裁判所の岡口基一裁判官について、国会の裁判官訴追委員会は、罷免するかどうかを審理する弾劾裁判所に訴追することを決めました。SNSの発信をめぐって裁判官が訴追されるのは初めてです。
仙台高等裁判所の岡口基一裁判官(55)のツイッターへの投稿をめぐって、罷免を求める訴追請求が出されたことから、衆・参の国会議員で構成される裁判官訴追委員会が本人の主張も聞くなどして、訴追すべきかどうか検討してきました。
その結果、16日の委員会で、委員の3分の2以上が訴追に賛成したとして、岡口裁判官を弾劾裁判所に訴追することを決めました。
今後、衆・参の議員で構成される弾劾裁判が開かれ、罷免するかどうか判断することになります。
裁判官訴追委員会の新藤義孝委員長は、委員会終了後「具体的な経緯や根拠は、今後の弾劾裁判で明らかにしたい」と述べました。
裁判官が弾劾裁判所に訴追されるのは今回が10件目で、SNSの発信をめぐって訴追されるケースは初めてです。
岡口裁判官は、民事裁判を担当する裁判官で、ツイッターなどのSNSを使って積極的に情報発信を行う異色の裁判官として知られています。
岡口裁判官は、女子高校生が殺害された事件の遺族についての投稿で、裁判官の品位をおとしめたなどとして、平成30年と去年の2回、最高裁判所の分限裁判で戒告の懲戒処分を受けています。
■ 弁護士「罷免に該当するような行為はない」
岡口裁判官の代理人を務める弁護士は「理由の詳細を把握していないが、岡口氏には罷免に該当するような行為は全くなく、決定は極めて遺憾だ。訴追は、裁判官の独立、裁判官の人権や表現の自由に対する重大な脅威であり、国民の権利に対し大きな影響を及ぼすものだ。代理人として、弾劾裁判で罷免の理由がないことを主張していく」というコメントを出しました。
■ 女子高校生殺害事件の遺族「訴追決まり一安心」
女子高校生が殺害された事件の遺族で、罷免を求める訴追請求をしていた岩瀬正史さん(52)は、NHKの取材に対し「訴追されることが決まって一安心した。裁判官がSNSなどで情報発信することは全くかまわないと考えているが、その表現の内容によっては傷つく人がいることも分かってほしかった。表現の自由と言っても一定の限度はあるので、それを理解できていない人が裁判官を務めていることに強い疑問を感じている」と話しています。
■ 裁判官訴追委員会と弾劾裁判所
裁判官は司法の独立を守る観点から憲法によって身分が保障されています。
不祥事を起こした裁判官であっても、裁判所が科すことができる懲戒処分は戒告か科料までで、裁判官を罷免、つまり辞めさせるかどうかは国会が設ける弾劾裁判所が判断することになっています。
国会の裁判官訴追委員会は、通常の刑事事件で言えば検察にあたる役割があります。
衆・参両院の議員で構成され、国民などから裁判官を罷免するべきだという請求があると、対象の裁判官について調べたうえで、職務上の義務に著しく違反するなど弾劾裁判を開く必要があると判断した場合に、刑事事件の起訴にあたる「訴追」を行います。
訴追を受けて開かれる弾劾裁判所も国会議員で構成され、罷免すべきか、罷免すべきではないかが判断されます。
裁判官訴追委員会によりますと、この制度ができた昭和23年から去年までに、訴追委員会が受理した請求は2万2000件余りで、このうち訴追されたのは9件です。
また、このうち、弾劾裁判の結果、7人が罷免と判断されています。
平成に入って以降、罷免と判断されたのは3人で、弾劾裁判にかけられる前にストーカー行為や盗撮などをしたとして、いずれも刑事事件で有罪や罰金刑になっていました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210616/k10013088131000.html