「電車でGO!」実現へ−。静岡県富士市を拠点としたローカル線、岳南電車が運転体験プロジェクトの実現に向けて資金を募っていたクラウドファンディング(CF)は15日に締め切りを迎え、当初の目標額800万円を大きく上回る1200万円超に達した。経営的に苦境にあえぐ岳南電車を支援しようという鉄道愛好家ら約1200人の熱意の表れといえ、同社は「皆さんの協力に感謝します」と、予想以上の反響に驚きを隠せない。
運転体験は12月に実施する。10年ほど前に廃線となった吉原駅(富士市)近くの貨物用側線を活用し、昭和レトロな雰囲気が漂う車両「7000形」を約200メートル運転できる。運転の楽しさを知ってもらう狙いの一方、新型コロナウイルス感染拡大による沿線の学校の休校や、企業の在宅勤務などで乗客が減少し、令和2年度の旅客収入が前年度に比べて約3割落ち込み、経営の苦しい同社にとって新たな収益源としての期待もあった。
ただ、運転体験にはさびたレール、朽ち果てた枕木など老朽化した施設の改修に準備資金800万円が必要で、「会社として改修費を用意する余裕はない」(鉄道部)のが実情だった。そこで4月22日からCFで資金を募り始めた。しかし、寄付額は伸び悩み、5月21日時点で目標額の半分に満たない約343万円にとどまっていた。
目標額に届かなければ運転体験は白紙。寄付金も全額返金する予定で、同社の担当者は「ハードルは高い」と頭を抱えたことも。切羽詰まった同社は最後の手段として、鉄道愛好家の人気ユーチューバーに、運転体験プロジェクトの動画紹介を依頼した。
これが功を奏する形となった。寄付額約600万円だった今月6日に動画が配信されると、翌7日には一気に目標額を突破。「信じられなかった。本当にありがたい」と同社の担当者は目を丸くする。目標額を上回った寄付額に関しては駅舎や機関車の整備費に充て、サービス向上に努める予定だ。
6/15(火) 21:44
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