コロナワクチンが不妊を引き起こす可能性があるという言説は、ファイザー社の元「Vice president」(日本では“元副社長”の訳で拡散)であるマイケル・イードン氏の発言として、日本のみならず世界中で広がっている。
イードン氏はコロナワクチンそのものに反対しており、2020年末に欧州医薬品庁(EMA)に請願書を提出。これがドイツのネットメディアに報じられ、ネット上で拡散した。
「不妊を起こす危険性がある」という誤情報は、この請願書のなかで触れられていたイードン氏の「主張」だ。主に拡散しているのは、以下のような内容だ。
「ワクチンはコロナのスパイクタンパク質に対する抗体を生成することが期待されているが、スパイクタンパク質は、『シンシチン・ホモログ・タンパク質』を含んでおり、ヒトなど哺乳動物の胎盤形成に必須であるため、無期限に不妊症を起こす危険性がある」
海外ではすでにファクトチェックされているこの言説。日本において震源となっているのは、「BonaFidr」という正体不明のニュースサイトの記事だった。
タイトルは「新型コロナ・ワクチンは「無期限の不妊症」を引き起こす懸念がある--ファイザー社の元副社長がEUにワクチン試験を即刻停止するよう要請 -」というもので、計測ツール「BuzzSumo」によると、TwitterやFacebookで4000以上シェアされている。
このサイトは「日本のオールドメディアが伝えない海外のニュース」をうたっているが、運営者に関する情報は明かされておらず、アメリカ大統領選の際には、いわゆる陰謀論を拡散していたこともある。
また、SNSやブログなどを通じても、この言説は一人歩きしているようだ。
たとえば、「ワクチン 不妊」でGoogle検索をしてみると、この言説を含む「それでもあなたはコロナワクチンを接種しますか?」というブログが表示される。
この記事はある整形外科医のものであり、検索ランキングの上位1〜2番目に表示されていることから、信頼度が高いように見えてしまう。しかし「不妊」に限らず、誤った情報に基づいたワクチン不安を煽る言説を多く書き記しているのだ。
さらに、別の開業医も「note」で不妊に関する言説を取り上げており、「そもそも妊娠できる体ではなくなる」などと記している。この記事は1400以上「スキ」されており、一定の読者がいることがわかる。
このほか、大学教授がYouTube上の「ネットTV局」やPodcastで発信している内容にも、「1〜2年後に不妊になっている可能性が高い」という同様の言説があることも確認できた。
全文は:https://news.yahoo.co.jp/articles/6011bd2fd3c53db2bcc67f6f8f7fd0531aa447e4?page=1