ビンラディン容疑者殺害10年 今も続くタリバンとアルカイダ連携(深掘り動画あり)
毎日新聞 2021/5/1 18:00(最終更新 5/1 21:40) リンク先に詳しい発言動画
https://mainichi.jp/articles/20210430/k00/00m/030/340000c
国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者=撮影日時不明、AP共同
2001年の米同時多発テロの首謀者で国際テロ組織アルカイダを率いたウサマ・ビンラディン容疑者が米軍に殺害されて2日で10年となる。アルカイダの拠点だったアフガニスタンで毎日新聞の取材に応じた旧支配勢力タリバンの部隊長2人は「軍事訓練をしてもらうなど、今もアルカイダと協力関係にある」などと証言。01年から駐留する米軍が撤収を始めるなか、アフガンの今後の治安悪化が懸念される。
「アルカイダは軍事キャンプで今も訓練してくれる。一緒に戦うことはないが、協力関係にある」。パキスタン国境に近いアフガン東部ナンガルハル州ナジアン地区で4月中旬、30人を率いるタリバンの部隊長が毎日新聞の助手の取材に明かした。ここではタリバンとアフガン政府の治安部隊、過激派組織「イスラム国」(IS)系勢力が激しく争う。
インタビューに応じたタリバンの部隊長。30人の部隊を率いているという=アフガニスタン東部ナンガルハル州で2021年4月18日、毎日新聞助手撮影
南部カンダハル州で数十人を率いて20年以上戦うタリバンのベテラン部隊長も「アルカイダは訓練だけでなく武器や地雷も提供してくれる。我々が目指すシャリア(イスラム法)に基づく社会作りに協力してくれる」と言う。
トランプ前米政権とタリバンは20年2月に和平合意を締結。アルカイダなどのテロ組織が国内で活動するのをタリバンが許さないことなどを条件に米軍が5月1日までにアフガンから完全撤収するとした。部隊長の証言は、タリバンが合意をきちんと履行していない可能性を示している。
一方、両組織の連携に懐疑的な見方もある。パキスタンの著名ジャーナリスト、ラヒムラ・ユスフザイ氏は「タリバンは資金も豊富で戦闘の経験もあり、もうアルカイダを頼る必要はない。戦闘員同士の個人的なつながりを絶つのは難しいが、ビンラディン容疑者が殺害され組織のつながりは弱くなった」と指摘する。
タリバンや過激派組織「イスラム国」(IS)が活動するアフガニスタン東部ナンガルハル州ナジアン地区=2021年4月18日、毎日新聞助手撮影
だが、ビンラディン容疑者とかつて親しく、タリバンとも近い武装勢力関係者はこう語る。「米国がアルカイダを大幅に弱体化させたのは間違いないが、タリバンがいる限りアルカイダが消滅することは当面ない」
バイデン米大統領は、同時多発テロから20年の節目となる9月11日までに米軍を完全撤収させる。北大西洋条約機構(NATO)主導の国際部隊もこれに追随する。「重し」のなくなったアフガンが、再びテロの温床となる可能性は排除できない。【ニューデリー松井聡】
■ウサマ・ビンラディン容疑者とタリバン
1957年にサウジアラビアの裕福な一族に生まれた。79年のソ連のアフガニスタン侵攻に抵抗する勢力を支援した。88年ごろアルカイダを設立。94年にアフガン南部で結成されたタリバンが、96年にビンラディン容疑者を客人として迎えた。タリバンは同年、アフガンで政権を掌握した。2001年9月11日に旅客機4機が乗っ取られニューヨークの世界貿易センタービルに突っ込むなどした米同時多発テロが発生。タリバン政権は首謀者であるビンラディン容疑者の引き渡しを拒み、米軍などの攻撃を受け崩壊。同容疑者は11年にパキスタン北部アボタバードの潜伏先で米海軍特殊部隊の急襲を受け、死亡した。
関連
【米軍撤退】アフガンで爆発、25人死亡 宿泊施設の学生標的か
http://2chb.net/r/newsplus/1619800913/
【アフガニスタン】米軍撤退「行動は理解できるが、(期限9月11日は遅すぎて)和平合意に違反した撤退」タリバンが非難
http://2chb.net/r/newsplus/1619891727/
毎日新聞 2021/5/1 18:00(最終更新 5/1 21:40) リンク先に詳しい発言動画
https://mainichi.jp/articles/20210430/k00/00m/030/340000c
国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者=撮影日時不明、AP共同
2001年の米同時多発テロの首謀者で国際テロ組織アルカイダを率いたウサマ・ビンラディン容疑者が米軍に殺害されて2日で10年となる。アルカイダの拠点だったアフガニスタンで毎日新聞の取材に応じた旧支配勢力タリバンの部隊長2人は「軍事訓練をしてもらうなど、今もアルカイダと協力関係にある」などと証言。01年から駐留する米軍が撤収を始めるなか、アフガンの今後の治安悪化が懸念される。
「アルカイダは軍事キャンプで今も訓練してくれる。一緒に戦うことはないが、協力関係にある」。パキスタン国境に近いアフガン東部ナンガルハル州ナジアン地区で4月中旬、30人を率いるタリバンの部隊長が毎日新聞の助手の取材に明かした。ここではタリバンとアフガン政府の治安部隊、過激派組織「イスラム国」(IS)系勢力が激しく争う。
インタビューに応じたタリバンの部隊長。30人の部隊を率いているという=アフガニスタン東部ナンガルハル州で2021年4月18日、毎日新聞助手撮影
南部カンダハル州で数十人を率いて20年以上戦うタリバンのベテラン部隊長も「アルカイダは訓練だけでなく武器や地雷も提供してくれる。我々が目指すシャリア(イスラム法)に基づく社会作りに協力してくれる」と言う。
トランプ前米政権とタリバンは20年2月に和平合意を締結。アルカイダなどのテロ組織が国内で活動するのをタリバンが許さないことなどを条件に米軍が5月1日までにアフガンから完全撤収するとした。部隊長の証言は、タリバンが合意をきちんと履行していない可能性を示している。
一方、両組織の連携に懐疑的な見方もある。パキスタンの著名ジャーナリスト、ラヒムラ・ユスフザイ氏は「タリバンは資金も豊富で戦闘の経験もあり、もうアルカイダを頼る必要はない。戦闘員同士の個人的なつながりを絶つのは難しいが、ビンラディン容疑者が殺害され組織のつながりは弱くなった」と指摘する。
タリバンや過激派組織「イスラム国」(IS)が活動するアフガニスタン東部ナンガルハル州ナジアン地区=2021年4月18日、毎日新聞助手撮影
だが、ビンラディン容疑者とかつて親しく、タリバンとも近い武装勢力関係者はこう語る。「米国がアルカイダを大幅に弱体化させたのは間違いないが、タリバンがいる限りアルカイダが消滅することは当面ない」
バイデン米大統領は、同時多発テロから20年の節目となる9月11日までに米軍を完全撤収させる。北大西洋条約機構(NATO)主導の国際部隊もこれに追随する。「重し」のなくなったアフガンが、再びテロの温床となる可能性は排除できない。【ニューデリー松井聡】
■ウサマ・ビンラディン容疑者とタリバン
1957年にサウジアラビアの裕福な一族に生まれた。79年のソ連のアフガニスタン侵攻に抵抗する勢力を支援した。88年ごろアルカイダを設立。94年にアフガン南部で結成されたタリバンが、96年にビンラディン容疑者を客人として迎えた。タリバンは同年、アフガンで政権を掌握した。2001年9月11日に旅客機4機が乗っ取られニューヨークの世界貿易センタービルに突っ込むなどした米同時多発テロが発生。タリバン政権は首謀者であるビンラディン容疑者の引き渡しを拒み、米軍などの攻撃を受け崩壊。同容疑者は11年にパキスタン北部アボタバードの潜伏先で米海軍特殊部隊の急襲を受け、死亡した。
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