日本各地で異変が起きている。5月1日午前10時27分頃、宮城県で最大震度5強を観測する地震があった。震源地は宮城県沖で、震源の深さは約60km、地震の規模(マグニチュード)は6.6と推定される。 4月25日にも桜島(鹿児島県)が噴火。2月には福島県沖で震度6強の地震も起きている。どの地域でどんな地震のリスクが高まっているのか。AERAdot.編集部では各地の地震の回数を集計、ランキングにまとめた。
* * *
「ここんところ毎日怒ってるね。何が気に入らんのかな」
こういうのは十島村(鹿児島県)の諏訪之瀬島に住む70代の女性だ。十島村は屋久島の南西にある、12の島(トカラ列島)からなる。「怒ってる」というのは、島にある火山「御岳」のことだ。周辺では地震が頻発し、昨年11月から御岳の活動が活発化している。爆発をともなった噴火もたびたび起きている。女性はこういう。
「たいした揺れじゃないけど、地震も頻繁に起きてるよ。灰の量が半端ないね。ひどいときは太陽の光も入らないくらい。噴火で石が飛んで来るのが怖い。いつまで続くのかしら」
各地で地震が多くなっている。どのような震災のリスクは高まっているのか。
そこでAERAdot.編集部では、気象庁の「震度データベース検索」を使い、2020年4月から21年3月まで各地域で何回の地震が起こっているか調査を行った。地震の専門家の分析とともに、調査結果を見ていこう。
東日本では、石巻市(宮城県)と田村市(福島県)が182回とトップ。松本市(長野県)が165回、浪江町(福島県)が164回、一関市(岩手県)が163回と続いた。上位には岩手、宮城、福島の東北3県が上位を占める。東日本大震災の余震が続いているためだ。
関東地方でも地震が多くなっている。日立市(茨城県)では150回、香取市(千葉県)では72回、千代田区(東京都)で64回、横浜市中区(神奈川県)でも48回と高い数字が並ぶ。多くの人が懸念するのは首都直下型地震だろう。
政府の地震調査委員会が昨年1月に公表したデータによると、M7程度の首都直下地震が30年以内に起こる確率はおよそ70%だ。2万人以上の死者が想定されるなど甚大な被害をもたらすとされる。東北大災害科学国際研究所の遠田晋次教授(地震地質学)はこう語る。
「千葉県北西部や茨城県南部はプレートが複雑に重なっている影響でもともと揺れやすい。それに加え、東日本大震災の余震で、震災以前と比べて、20〜30%程度、地震が多くなっている。その分、首都直下地震が起こる可能性も高まっている」
西日本のランキングも見ていこう。最も多かったのは高山市(岐阜県)で201回、隣接する飛騨市(同)が50回と続いた。
高山市と飛騨市では、昨年5月に局所的に断続的な地震が頻発する群発地震が起きており、回数が増えた。この地域は東から太平洋プレートが、南からフィリピン海プレートがぶつかる場所だ。東日本大震災以降、新たな歪みが溜まっているというサインという指摘もある。
この他には、冒頭の十島村が47回、東伊豆町(静岡県)と和歌山市(和歌山県)が41回、竹富町(沖縄県)が39回と各地で地震の多さが目立つ。
心配なのは、南海トラフ地震だろう。地震調査委員会はM8〜9くらいの地震が30年以内に70〜80%の確率で起きるとする。死者は32万人を超えるといわれる。
立命館大の高橋学特任教授(災害リスクマネジメント)は「南海トラフだけではなく、東は相模トラフから西は琉球海溝にいたる広い範囲での大地震が起こる可能性が高まっている」と指摘する。特に注意して見ているのが、震源の深さ40から60キロなどの深いところで起きる強い地震だ。西日本の大地や首都圏の下には太平洋側からフィリピン海プレートが沈み込んできており、このプレートの境界で起きる地震を見ている。
静岡県から愛知県、和歌山県の南海トラフ沿いの地域や、鳥取から広島を通って宮崎県東部沖の日向灘に至るエリア、さらには宮古島(沖縄県)や台湾などでもプレート境界で強い地震が増えているという。
高橋特任教授はこう見る。
「16年に熊本と鳥取、18年に大阪などで大きな地震が起きているが、これは巨大地震の兆候とみなしている。1946年に起こった南海地震でも、1943年の鳥取地震から1948年の福井地震まで大きな地震が続きました。各地の地震や鹿児島の諏訪之瀬島や桜島などの噴火も巨大地震のサインと考えるべきです」
巨大地震はいつ起こっても不思議ではない。備えておこう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/cd8a59d764d8b34449c3f5330597da26a9562c7e
* * *
「ここんところ毎日怒ってるね。何が気に入らんのかな」
こういうのは十島村(鹿児島県)の諏訪之瀬島に住む70代の女性だ。十島村は屋久島の南西にある、12の島(トカラ列島)からなる。「怒ってる」というのは、島にある火山「御岳」のことだ。周辺では地震が頻発し、昨年11月から御岳の活動が活発化している。爆発をともなった噴火もたびたび起きている。女性はこういう。
「たいした揺れじゃないけど、地震も頻繁に起きてるよ。灰の量が半端ないね。ひどいときは太陽の光も入らないくらい。噴火で石が飛んで来るのが怖い。いつまで続くのかしら」
各地で地震が多くなっている。どのような震災のリスクは高まっているのか。
そこでAERAdot.編集部では、気象庁の「震度データベース検索」を使い、2020年4月から21年3月まで各地域で何回の地震が起こっているか調査を行った。地震の専門家の分析とともに、調査結果を見ていこう。
東日本では、石巻市(宮城県)と田村市(福島県)が182回とトップ。松本市(長野県)が165回、浪江町(福島県)が164回、一関市(岩手県)が163回と続いた。上位には岩手、宮城、福島の東北3県が上位を占める。東日本大震災の余震が続いているためだ。
関東地方でも地震が多くなっている。日立市(茨城県)では150回、香取市(千葉県)では72回、千代田区(東京都)で64回、横浜市中区(神奈川県)でも48回と高い数字が並ぶ。多くの人が懸念するのは首都直下型地震だろう。
政府の地震調査委員会が昨年1月に公表したデータによると、M7程度の首都直下地震が30年以内に起こる確率はおよそ70%だ。2万人以上の死者が想定されるなど甚大な被害をもたらすとされる。東北大災害科学国際研究所の遠田晋次教授(地震地質学)はこう語る。
「千葉県北西部や茨城県南部はプレートが複雑に重なっている影響でもともと揺れやすい。それに加え、東日本大震災の余震で、震災以前と比べて、20〜30%程度、地震が多くなっている。その分、首都直下地震が起こる可能性も高まっている」
西日本のランキングも見ていこう。最も多かったのは高山市(岐阜県)で201回、隣接する飛騨市(同)が50回と続いた。
高山市と飛騨市では、昨年5月に局所的に断続的な地震が頻発する群発地震が起きており、回数が増えた。この地域は東から太平洋プレートが、南からフィリピン海プレートがぶつかる場所だ。東日本大震災以降、新たな歪みが溜まっているというサインという指摘もある。
この他には、冒頭の十島村が47回、東伊豆町(静岡県)と和歌山市(和歌山県)が41回、竹富町(沖縄県)が39回と各地で地震の多さが目立つ。
心配なのは、南海トラフ地震だろう。地震調査委員会はM8〜9くらいの地震が30年以内に70〜80%の確率で起きるとする。死者は32万人を超えるといわれる。
立命館大の高橋学特任教授(災害リスクマネジメント)は「南海トラフだけではなく、東は相模トラフから西は琉球海溝にいたる広い範囲での大地震が起こる可能性が高まっている」と指摘する。特に注意して見ているのが、震源の深さ40から60キロなどの深いところで起きる強い地震だ。西日本の大地や首都圏の下には太平洋側からフィリピン海プレートが沈み込んできており、このプレートの境界で起きる地震を見ている。
静岡県から愛知県、和歌山県の南海トラフ沿いの地域や、鳥取から広島を通って宮崎県東部沖の日向灘に至るエリア、さらには宮古島(沖縄県)や台湾などでもプレート境界で強い地震が増えているという。
高橋特任教授はこう見る。
「16年に熊本と鳥取、18年に大阪などで大きな地震が起きているが、これは巨大地震の兆候とみなしている。1946年に起こった南海地震でも、1943年の鳥取地震から1948年の福井地震まで大きな地震が続きました。各地の地震や鹿児島の諏訪之瀬島や桜島などの噴火も巨大地震のサインと考えるべきです」
巨大地震はいつ起こっても不思議ではない。備えておこう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/cd8a59d764d8b34449c3f5330597da26a9562c7e