Web Voice 2021年03月25日
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日高義樹『バイデン大混乱――日本の戦略は』(かや書房)抜粋記事をさらに抜粋
![【日高義樹】習近平が台湾攻撃に熱心な理由 国内不安定ゆえ 米軍分析 台湾上陸作戦が可能 専門家 台湾はミサイル報復する無理 [どこさ★]YouTube動画>1本 ->画像>2枚](https://shuchi.php.co.jp/userfiles/images/b/b3/2020/200831hidakayoshiki001.jpg)
■バイデン政権は台湾を守るか
(略)
習近平が台湾に対する軍事行動に踏み切る最大の理由がジョー・バイデンにあることは、間違いがない。ジョー・バイデンが中国と深い関係を持ち、息子のハンター・バイデンが中国に買収されてしまっているのは紛れもない事実である。
そういった情勢のなか、習近平が懸案になっている台湾占領に動き出す。早ければ2021年中と推定されるが、習近平が台湾海峡を越えての大がかりな上陸作戦を練っていることはよく知られている。
■東シナ海の占領、尖閣への介入の延長線上に……
習近平は中国の海軍力増強に力を入れている。東シナ海の占領や、尖閣列島に対する介入、そしてその延長線上として、台湾海峡を越えての台湾占領を目論んでいるからである。アメリカ国防総省の中国軍事体制分析レポートは、次の点を指摘している。
(略)
確かに1950年代、金門馬祖の戦いといわれる中国の台湾攻撃計画は、大量の陸軍部隊を送り込むという計画がなかったために失敗に終わってしまった。
現在の中国は、10隻以上の揚陸用舟艇や、さらに20隻近い強襲攻撃艦の建造を急ピッチで進めており、あと一年もすれば台湾海峡を越えての上陸作戦が可能になる。
中国はこういった上陸作戦を支援するため、すでに航空戦力の強化にも力を入れており、アメリカのF35に対抗するステルス攻撃機J10などの大量生産を始めている。
こうした動きは、懸案になってきた台湾への軍事行動を早急に実施しようという中国側の意図を明確に示している。アメリカ海軍の専門家は次のように述べている。
「軍事面だけを考えれば、中国は台湾海峡を越えての上陸作戦を行う戦力を保有するに至っている。そのための軍事訓練も行われている。軍事的に見てようやく、中国の台湾上陸作戦が可能な状況になっている」
こういったアメリカ軍上層部の考え方に対抗して、アメリカ太平洋軍などの第一線の専門家たちの考えは、やや異なっている。その理由は、台湾側がすでに最新鋭のディーゼル潜水艦などの大量生産に成功していることや、優秀な中短距離攻撃ミサイルを開発し実戦配備しているからである。
■「ウイグルやチベットへの非人道的な行動」に欧州も反発
(略)
ところが最近のアメリカ海軍の報告によると、新しいドイツの通常型潜水艦の建造は技術的に容易で、台湾の技術力でも十分に大量生産が可能になったと見られている。
そのうえ、ドイツは優勝なソナーや、魚雷の開発にも成功しており、台湾側が密かにそういった新しい新兵器の購入や製造に成功していることは間違いないと見られている。
アメリカ太平洋軍の報告によると、台湾はすでに開発の終わっている射程3,000キロ以下の中距離ミサイルの大量生産に取りかかっており、中国の強力なミサイル攻撃網に対する抑止体制を整えつつある。
この点については私自身、台湾国防大学の幹部にアメリカの海軍戦略について教えていた頃からも多くの情報を得ていたが、台湾は独自のミサイルによる抑止戦略の強化に非常に熱心である。
台湾はミサイルによる防衛体制や、中近距離ミサイルによる抑止戦略について、あまり多くを語っていない。しかしながら消息筋によると、台湾側は中近距離ミサイルによって、中国本土の三峡ダムを破壊することを含め、抑止体制を十分に整え終わっている。
習近平は近頃では態度を変え、台湾の軍事施設だけでなく、民間の施設なども攻撃する体制を整えつつあるといわれているが、台湾が抑止体制を完備すれば、ミサイルによって台湾の民間施設を自由には攻撃できなくなる。
習近平が台湾攻撃にこのところ熱心になっているのは、中国国内政治の動向が不安定になっているからだと思われる。習近平は中国国内の政治情勢についてあまり懸念していないといわれているが、現実的に考えると、中国はアメリカをはじめヨーロッパへの輸出が急速に減っているうえ、「一帯一路」と呼ばれる全世界的な貿易輸出体制計画も行き詰まっている。
そのうえはっきりしているのは、中国のウイグル民族に対する民族絶滅計画やチベット文明破壊などといった非人道的な行動に対してヨーロッパが強く反発していることである。