【シドニー時事】日米印3カ国との枠組み(通称クアッド)で初の首脳会談を終えたばかりのオーストラリアのモリソン政権が、相次ぐ「性的問題」の対応に苦慮している。与党の女性職員がレイプ被害を告発したほか、議会内で男性職員らが「破廉恥行為」を撮影して仲間内で共有していたことなどが発覚。支持率は低下し、政権は火だるまとなっている。
モリソン首相は23日、キャンベラで記者会見し、一連の出来事を受けて「この国で女性が少なくとも男性と同じ機会、同じ声、同じ安心感が持てるようにしたい」と強調した。
一部の豪メディアは22日、証言に基づき、与党の男性職員が担当する女性議員の執務室の机で行ったいかがわしい行為の動画や画像を数人の職員と共有していたと伝えた。議会内の礼拝室で性行為が繰り返されていたと非難する証言も報じられている。
政権内では最近、他にも醜聞が相次いでいた。レイノルズ国防相の部下だった女性が同僚から2019年に執務室でレイプされたと告発。被害届を出さないよう上層部から圧力を受け、失職を懸念し黙っていたと訴えた。
ポーター司法長官も、10代の頃のレイプ加害者として疑惑が浮上していると自ら名乗り出た。疑惑を完全否定している。
こうした混乱を受け直近の世論調査では、与党勢力・保守連合の支持率は19年5月の総選挙後、最低の水準に並んだ。
政府は既に「職場としての議会の改善」に向けた調査に乗り出した。モリソン氏が妻から「娘のことだと思って対応してほしい」と助言を受けたことがきっかけだった。モリソン氏は記者会見で、一連の対応に批判があることを認めつつ「妻が私の人生の中心だ」と目に涙を浮かべながら話す場面もあった。
時事通信 2021年03月23日20時34分
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